ビートたけし(71)が3月いっぱいで所属事務所「オフィス北野」から独立することが14日、分かった。4月からは3年前に設立した個人事務所を拠点にして活動する。自分の時間を増やしたいことが大きな理由でもあり、ガダルカナル・タカ(61)ら「たけし軍団」メンバーは追随せず事務所にとどまることになりそうだ。

 たけしは15年秋、一部で愛人とも伝えられた18歳年下でビジネスパートナーとする女性と、新会社「T.Nゴン」を設立していた。昨年3月に同社代表にも就任。独立に向けて着々と準備を進めていた。

 オフィス北野の森昌行社長(65)は日刊スポーツの取材に対し、独立の理由を「残された人生を考えた上の新境地ということなのでしょう」と説明した。70歳を迎えようとしていた頃から「自分の時間をもっと増やしたい」と話していたという。「小説を書いたり、絵を描いたり、ごく私的な活動を視野に置いたことだと思います」。また「背負ってきたものを下ろしたい」という申し出もあったという。森氏は「たけし軍団に象徴されるような部分のことだと思います」。テレビのレギュラーは6本、さらに映画製作やCM出演、執筆活動など第一線で活躍しながら、屋台骨としてオフィス北野を支えてきた。

 森氏は「けんかをしたつもりはありません。要望を聞き、見解もいろいろうかがいました」。たけしも「円満にしたい」と言っていたという。そうした意向を最大限に尊重して独立を了承した。既にテレビ各局、広告代理店やスポンサー企業に伝えており、引き継ぎ作業に入っている。

 たけしはフライデー編集部襲撃事件後、所属していた太田プロを退社。88年に、それまでテレビの制作現場で信頼関係を築いていた森氏とオフィス北野を設立した。「たけし軍団」と呼ばれる弟子タレントも所属しているが、たけしが屋台骨を支えている。森氏は「大黒柱を失うため、社名変更も含め、会社規模の縮小も視野に入れています」。たけしを「殿」と呼んで慕い、尊敬している軍団メンバーの動向も気になるが、森氏は「現段階で、軍団を連れて行くという話は本人から聞いていません」。

 独立後も、レギュラー番組やCM契約に変更などはない。小説などの執筆活動にこれまで以上にのめり込んでおり、創作活動も精力的に続けていきそうだ。ただ、映画製作は環境が大きく変化する。たぐいまれな才能を支え、あらゆる面で環境を整えてきたのは、森氏を始めとするオフィス北野のスタッフだった。たけしは今も映画化を希望する題材やアイデアを複数持っているが、森氏に代わるプロデューサーが出現しないうちは、実現が難しい状況が続くとみられる。