新人歌手桜井一輝(33)が26日、出身地の大阪・岸和田市でデビュー記念のコンサートを行った。4月に発売した第1弾シングル「優しい雨」やカップリング曲「恋の涙跡(なみあと)」を甘く伸びのある歌声で披露。自身が「熱い気持ちを思い出すパワーソング」という五木ひろしの「山河」も熱唱し、大きな拍手を浴びた。

 14年に「星まこと」の名で演歌歌手としてデビューした。プロとして歩き始め、スターになる日を夢見ていたが、間もなく暗転。当時の経緯や胸中をステージ上から打ち明けた。

 「デビュー当時は皆さんにおめでとうと言われたのですが、バックアップ組織が空中分解のような形となり、そこからはフリーで動いていました。心の中ではもっと上がっていけると信じていましたが、手探りで進んでいた。毎年いただいている仕事もなくなってもう歌えなくなるのでは…という不安もありました。でも、支えの中でようやくアクトラスレコードに所属し、再デビューできることになったのです」。

 1度は閉ざされかけた歌の道が開け、迎えたこの日の晴れ舞台。コンサートの主催は「桜井一輝を育てる会」。地元で桜井を支えてきた後援会組織だ。苦しいときもサポートしてくれたからこそ、桜井も感謝の思いが自然と言葉になる。「(最初のデビューの)3年半前に来てくださった人たちの顔が今日もたくさんあった。その人たちの前で歌えたことが何よりです」。

 所属するアクトラスレコードの歌手とも共演し、清水まり子とはオヨネーズの「麦畑」をデュエットして盛り上げた。「これからもいろいろ教えてください」と頭を下げる桜井に、清水が「教えることは何もございません!」と返して会場の笑いを誘う一幕もあった。

 最後に再び、デビュー曲の「優しい雨」を歌った。AKB48の大ヒット曲「365日の紙飛行機」を作曲した青葉紘季が作詞、作曲した切なくも甘いラブソングだ。「(演歌より)この歌の方が合っている」とファンの間でも高い評価を受けている。スター性を秘めた桜井が、故郷からポップス歌手としての新しい1歩を踏み出した。