OSK日本歌劇団のトップスター高世麻央(たかせ・まお)が27日、大阪松竹座で、サヨナラ公演「春のおどり」千秋楽を迎え、劇団本拠・大阪のファンに別れを告げた。

 「思った以上に感激してしまい…やっぱりダメでした。泣かないでおこうと思ったけど、やっぱり…。大事な、大事なこの光景を目に焼き付けたいです」

 サヨナラ公演の千秋楽に加えられる「さよならショー」の途中から感涙。声は裏返り、正確に歌えず。続くあいさつでも、涙で声を詰まらせた。

 「このOSKは、本当に愛情のあるすばらしい場所です」。高世は96年入団。男役として伸び盛りだった03年、当時の親会社だった近畿日本鉄道が劇団を離れた。劇団存続の危機を経験し、「OSK存続の会」の一員として、新生OSKの再出発に貢献した。

 男役22年。集大成のステージを終え、高世は「自分の意志でないところで、(劇団を)あきらめなければいけないかなと思った。でも、あのとき、伝統を消さない、あきらめない思いでやってきて、本当によかったと思います」と、声を震わせ、あいさつした。

 劇団の存続を求め、署名活動も行い、新生なったOSKでは、14年に桜花昇ぼるの後任としてトップスターに就いた。

 劇団生誕の地、道頓堀での大阪松竹座公演は、04年に復活。15年連続開催となった今年の公演がサヨナラ公演となった。

 「劇団は今年96周年です。私はこの春のおどりがラストステージになりますが、この先もOSKは100周年へ向けて1歩1歩前進していきます。大好きな仲間、支えてくださったファンの皆様に出会えて、私の一生の宝物です。本当に幸せでした」。

 さよならショーで思い出のナンバーを歌い終えた後も、繰り返されたカーテンコール。最後は、OSKのテーマソング「桜咲く国」を、仲間の手拍子にのりアカペラで歌った。

 高世は「これからもOSKを愛し続けてください」と、客席に頭を下げた。

 高世は、東京・新橋演舞場でのサヨナラ公演「レビュー 夏のおどり」(7月5~9日)の千秋楽をもってOSKに別れを告げる。