モデルで作家の押切もえ(38)が11日、16年の山本周五郎賞にノミネートされた短編集「永遠とは違う一日」(新潮社)の文庫化を記念して、キャスター、作家で女優の阿川佐和子(64)と都内でトークショーを開いた。

押切は「一度出した本なんですけど、文庫にするのに加筆修正したので、また読んでほしいです。言い回しとか、出産のシーンは当時は想像で描いたので加えた部分があります」。その後、16年11月にプロ野球ロッテの涌井秀章投手(32)と結婚、今年3月に長男を出産した。当時の出産シーン執筆について「妄想でしたね」と笑った。

そして「結婚する前に描いたんですが、今、読みなおしても、女性の悩みや思うことを書いてあって、この頃、こんな気持ちでいたんだなと思いました」と振り返った。執筆は3週間くらいで「子供のお昼寝のサイクルを読んで、合間に書いていました。主人は読んでないと思います。あんまり興味ないんじゃないですかね」と話した。

小説を書く前には、阿川に相談した。阿川は「多少、物を書くことの先輩なので『四の五の言わずに書き続けなさい』と言ったんだけど、まんまと抜かれました(笑い)。すごっ! 立派な小説家です。細かい描写に彼女らしさがある。心の機微、感じ方、会話…自分のテンポやリズムをつかむのに時間かかるし、もえちゃんはいろいろな本を読んでいるから影響を受けやすいんだけど、(短編)6編それぞれに力がある」と話した。

押切は「エッセーを書いていて、小説を書く時に阿川さんに相談したら、背中を押してくれた」。阿川は「書くことをずっと続けてね」と言葉を送った。

モデル、妻、母、そして小説家、肩書について押切は「あまり気にしていません。モデルもやらせてもらっていますけど、文筆業もやるモデルかな。肩書がなくなってきている時代なので、いろいろなものをやっていきたい」。阿川は「その月で一番、稼ぎがいいのを肩書にすればいい。私は今月は物書き。先月は原作者」と、4月期に日本テレビ系で吉高由里子主演で連続ドラマ化された、小説「正義のセ」の原作料が入ってきたことを笑いながら明かした。