俳優、井浦新(44)が20日、大阪市内で主演映画「止められるか、俺たちを」(白石和彌監督)の舞台あいさつに出席した。この日が大阪の公開初日となった。

12年10月に交通事故で死去した映画監督の若松孝二さん(享年76)が創設した若松プロダクションの創世記を描く青春群像劇。「恩師」と慕う若松監督の若き日を熱演した井浦は「(撮影中は)若松監督の呼吸の仕方、リズムになっていた。正直、芝居を越えていた。自分の中の若松監督が僕の身体を使ってやっている状態だった」と振り返った。

「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」(08年)など5つの若松作品に出演した。「6年間で自分の心の中で若松監督の存在を温めてきた。僕の中にあるすべての記憶を、役を通して、演じたかった」と臨んだ。

撮影を終えて感じたこともある。「1ミリも若松監督には届いていない。若松監督は野生の熊のような存在感があった。何もしなくてもエネルギーはあふれ出していた」と存在感に圧倒されたという。それでも「実体験に基づく自分だけの若松監督を芝居を通して皆さんに届けられたことをうれしく思う」と胸を張った。 映画監督の大島渚さん(享年80)に扮(ふん)した高岡蒼佑(36)は「朝一番にうんちを踏みました。こんなに劇場を満員にしていただき、これも運(うん)を引き連れてきてるのかな」と笑わせた。

舞台あいさつには白石監督、毎熊克哉(31)が出席した。