俳優の渡辺謙(59)が15日、都内でNHK主演ドラマ「浮世の画家」(NHK総合30日午後9時、BS8K24日、午後9時)の試写会に登壇した。

同ドラマはノーベル文学賞受賞者カズオ・イシグロ氏が86年に発表した同名小説が原作。終戦から数年たった日本を舞台に渡辺演じる高名な初老の画家小野益次。焼け跡から徐々に復興していく街で、隠居老人の一見平和な日常生活と、その営みの中で人の心の弱さから生まれる悲劇や、思い違いから生まれる喜劇が描かれる。

原作を読んだ時、ドラマ化は難しいと感じたという渡辺は「『よくやったなNHK』というくらい難しい企画だったと思います」と作品化させたNHKを絶賛。リアルに映し出す8Kカメラでの撮影ということもあり「小手先ででやるのはやめよう。自分の中にあるものをありのままに役に乗っけるしかないなと毎シーン、毎シーン悩みながら、楽しみながら撮影しました」と、撮影を振り返った。

作品については、「答えがない分、文化度が高い。見る人それぞれが違う感想を持つような、摩訶(まか)不思議なドラマになったと思います」とし、「いずれ来る人生の終焉(しゅうえん)をどう受け止めようかとこのドラマを通して感じました」と、しみじみと語った。

また、作中では画家を演じている。取材陣から自身の絵心について質問を受けると、「まったく絵心がなくて。娘に絵を描いて送ったことあるのですけど、『これは、一体、何だ?』と言われたくらいで。絵を描くシーンがなくて良かった」と苦笑いした。

この日は、娘役を演じた広末涼子(38)と孫役の寺田心(10)も出席した。