先日、第68回文化庁芸術選奨の贈呈式が行われました。

昨年1年間で芸術の各分野で優れた業績を残した人に贈られる賞で、大衆芸能部門の文部科学大臣賞に笑福亭鶴瓶と竹内まりや、演劇部門の同賞には藤山直美が選ばれました。

私は演劇部門の選考委員を務めたこともあって、取材を兼ねて行って来ました。残念ながら、鶴瓶や藤山は欠席でしたが、竹内、そして演劇部門新人賞の蒼井優が出席していました。

中でも、ライブ以外では、ほとんど公の場に姿を見せない竹内の晴れやかな表情が印象的でした。黒のワンピース姿で柴山昌彦文部科学大臣から表彰状と目録を受け取っていました。竹内は昨年でデビュー40周年を迎え、過去のライブ映像を初映画化した「souvenir the movie」ほかの成果によって受賞しました。受賞の知らせに「身に余る光栄なこと」と喜びを口にした竹内ですが、この日も贈呈式だけで退席予定だったのが、「選考委員の方にあいさつがしたい」と、直後の懇親会にも姿を見せ、委員1人1人に丁寧にお礼を言っていました。

竹内といえば、「SEPTEMBER」「不思議なピーチパイ」などのヒット曲で知られ、80年代に青春時代を過ごした人にとってはアイドル的存在でした。それもあってか、集合写真の撮影の時に、取材以外の関係者にも記念のため写真を撮る人もいました。芸術選奨は賞金こそ30万円ですが、1950年に始まった選奨の歴史に名を残す「栄誉」は、何物にも替えがたいものがあるようです。【林尚之】