26日に亡くなった萩原健一さん(享年68)はショーケンの愛称で知られ、音楽はもちろん、映画やドラマでも強烈な個性を発揮した。17年にはデビュー50周年ツアーを行い、自身のレーベルを創設するなど、病気を隠しながら、精力的な活動を続けていた。私生活では3度の結婚のほか、数々の破天荒な振る舞いなどから、芸能マスコミを大いに騒がせた。それでも、どこか人懐っこいキャラクターは愛され、多くのファンをひきつけた。

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萩原さんは11年2月にモデルの冨田リカ(57)と結婚。その頃から闘病生活を送っていた。関係者は「がんであることは、ごく限られた人間だけが直接知らされていた。間接的に知らせれていた人間も、その後に元気に活動をしていたので、治療がうまくいっているんだと思っていた」と話した。

15年1月にNHK BS「鴨川食堂」で11年ぶりにドラマ出演。17年には50周年記念アルバム「Last Dance」を発売してライブツアーを行った。その際には「今までの自分のやり方をフルチェンジした」と、スタッフの意見を取り入れて「職人として」アルバム作りに取り組んだ。その際は、既に闘病中だったが「50年もやると思っていなかった。正直に言って、60歳まで生きていると思わなかった」と振り返っていた。

ビートルズに憧れて音楽活動を始めた萩原さんにとって、自分のより年上のポール・マッカートニー(76)やローリング・ストーンズのミック・ジャガー(75)が現役で活躍しているのは大きな励みになった。「素晴らしいことだと思う。彼らが頑張っていることで生き甲斐になります」と話していた。

18年にはNHKドラマ「どこにもない国」で頭を剃り上げて吉田茂元首相を、テレビ朝日系ドラマ「明日への誓い」では原案、主演を務めるなど役者活動を活発化させていた。元々は映画監督志望。「子供の頃に石原裕次郎さんとスターよりも、映画監督の名前の方がポスターに大きく書かれていた。だから僕はシナリオの勉強をした」とドラマの脚本作りに意欲を見せていた。

17年には50周年ツアーを敢行。昨年5月には初の自身のレーベル「Shoken Records」を発足させた。【小谷野俊哉】