歌手森昌子(60)が28日、都内で会見を行い、年内での芸能界引退を自身の言葉で説明した。くしくもこの日は、06年に死去した父森田常夫さん(享年75)の命日。「天国で見ているのかな」と驚いていた。会見は笑顔あり、涙あり、プチ怒りありの45分。最後は「芸能界復帰はない。結婚もない。年末まで頑張ります」と笑顔で誓った。

「恥ずかしいのですが2度目の引退です。3度目はありませんのでよろしくお願いします」。記者会見は自虐的なあいさつで笑いを取って始まった。

86年に歌手森進一(71)と結婚し1度は引退。離婚をへて歌手復帰したのが06年だった。両親と3人の子どもを抱えて「生活のために」(昌子)働かざるを得なかったが芸能生活そのものは順調だった。昨年10月にスタートした「還暦コンサート」も今年12月までに約100本。順風満帆な芸能人生に終止符を打つのは「自分の人生を充実させたい」との強い思いからだった。

幼少期は病弱の母幸子さん(87)に代わって家事を担った。13歳のデビューからは芸能界、そして家庭での子育てと完全燃焼。昨年10月の還暦を目前に、初めて「自分のための人生を歩みたい」と強く思った。昨夏に恩人の興行関係者が78歳で死去。「その年齢まで20年もない」と思ったことも、立ち止まる大きなきっかけになったという。

森進一へ報告したかを聞かれると「何てことを言うんですか。言うわけないじゃないですか」と怒り口調でおどけ、ファンへ「感謝しかない。最後まで全身全霊で歌ってまいりたい」と涙をこぼした。

来年以降のことを聞かれると「母と温泉に行きたい」。歌手という衣を脱いだ新たな人生に思いをはせていた。

◆森昌子(もり・まさこ)本名・森田昌子。1958年(昭33)10月13日、栃木県生まれ。71年に日本テレビ系「スター誕生!」初代グランドチャンピオンとなり、翌年に「せんせい」でデビュー。86年に歌手森進一と結婚のため引退。離婚をへて、06年に歌手復帰して同年に15回目の紅白出場。ヒット曲は「なみだの桟橋」「哀しみ本線日本海」「越冬つばめ」など多数。長男はONE OK ROCKのTaka。三男もMY FIRST STORYのHiroとして活躍中。