STV木村洋二アナウンサー(59)がパーソナリティーを務めるSTVラジオの新番組「ごきげんようじ」(午前8時~午後1時55分)が6日、スタートする。

土曜の同時間帯は、昨年4月に死去した日高晤郎さん(享年74)が務めた「ウィークエンドバラエティ日高晤郎ショー」が人気番組として36年間も続いた。10月で還暦を迎える木村アナが同局伝統の枠を受け継ぐ。初回は恩人でもある歌手松山千春(63)をゲストに迎える。

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STVラジオの土曜日が変わる。83年以来、日高さんの看板が掲げられた長寿番組が3月で終了し、後番組を担当する。伝統の枠に大針三治プロデューサー(47)から「老若男女から支持されているアナウンサー。うちのスーパースターしかない」と指名された。

「比べられる、というのは当然ある。リスナーから『あのコーナーどうなったの』とか電話が来るんじゃないのかな。だけど、これまで日高さんが守ってこられた時間帯を譲り受けて、新しいことをやらせていただきます、という気持ち」

新番組は「井戸端会議」スタイルを目指す。木村アナを中心に週末を過ごすリスナーと世間話ができる雰囲気を作り出す。

「災害時にラジオが必要とよく言われる。それは否定しないし、ありがたいことだと思う。だけどラジオは本来、楽しんでもらうツール。すごく時間がかかると思うけど、“暮らしの中にあるラジオ”の時代が帰ってくれば良いと思う」。

オンエアは午前8時から6時間の長丁場。「タイムキーパーのスペシャリスト」と呼ぶ後輩の熊谷明美アナとコンビを組むため進行での不安はない。だが、一つだけ心配事が…。

「トイレですかねぇ。余裕をもって、時間を見てもらわないと。あとは血圧計を置いて欲しい。これは生きるか死ぬかの勝負の番組なんです。血圧上がってもやり続けますけどね」

入社して38年目。柔和な人柄とひょうひょうとしたキャラクターで、道内では知らない人はいない大ベテラン。だが自身は「アナウンサーとして亜流」と言い。新人の頃は苦労した。

「報道、スポーツは軒並みダメで流れてきちゃった。1回だけやった高校野球のベンチリポートでは、先輩から『全然違う』と言われたけど何が違うのかわからない。永遠の謎。競馬中継では双眼鏡をのぞいて『黒い毛、白い毛、まだら』って本気で言ったらえらい怒られた。使いものにならなかったんですよ」。

周囲から「アナウンサーらしくない」と言われ、方向性に悩んでいた入社3年目。局内の廊下ですれ違った初対面の松山千春からの言葉があった。

「『面白いなお前。お前はお前らしくて良いんだ』って。あの一言に救われましたね。その出会いがなかったら、もう1回競馬やらせて下さいと言ってたかもしれない」。

元号が令和になる今年、10月に定年を迎える。人生はすべて受け身だったが、大きな失敗や後悔はない。

「昭和は駆け出しで苦戦して、平成は大ブレークした。次の時代は集大成になるのかなぁ。生涯現役? それは自分が決めることじゃなくて望んでもらえれば答えを出したい。どこまでも受け身ですなぁ、本当に。アナウンサーバカで終わっていいんですかねぇ」。

待っているファンがいる限り、木村洋二はしゃべり続ける。【西塚祐司】

◆木村洋二(きむら・ようじ)1959年(昭34)10月26日、山口県生まれ。東洋大卒業後、82年にSTVにアナウンサーとして入社。テレビでは夕方の情報番組「どさんこワイド」、大泉洋と共演する「1×8いこうよ!」などに出演。ラジオは「アタックヤング」や昨年4月から明石英一郎アナと共演する「洋二と明石の無口な二人」を担当。趣味はゴルフで「バンカーを1回で出したらご機嫌になる」。特技は「スコアは230台。ただ転がしたらコロンコロンといく」というボウリング。家族は妻と長男。O型。

◆ウィークエンドバラエティ日高晤郎ショー 83年4月から始まり、札幌市内のSTVラジオのスタジオから公開生放送で行われた。放送時間は時期で異なるが、最長で午前8時から9時間。日高さんが幅広いジャンルを独自の切り口で語り、歯に衣(きぬ)着せぬ物言いで人気を博した。18年4月3日に日高さんが死去してからも「ウイークエンドバラエティー日高晤郎ショーフォーエバー」として継続。3月23日で36年の歴史に幕を下ろした。