NHKは9日、都内で、2021年放送の大河ドラマの発表会見を行い、実業家の渋沢栄一を主人公にした作品「青天を衝(つ)け」になると発表した。

主演を現在、放送中の連続テレビ小説「なつぞら」に出演し、主人公なつの幼なじみの山田天陽を演じた吉沢亮(25)が務める。

また、大森美香氏が初めて大河の脚本を担当する。

NHKの菓子浩・制作統括は「21年はオリンピックが終わったあと、日本があるべき形に向かって進んでいく年になる。今、閉塞感があるからこそ、幕末から明治維新にかけ、時代的にうねりのある、この時代に致しました」と題材を説明。渋沢について「思いついたワードが青春でした。晩年までチャレンジを続けた生涯青春の人だった」と説明した。

吉沢の起用について菓子氏は「先週亡くなった天陽が戻ってきました」と、連続テレビ小説「なつぞら」で演じたキャラを引き合いに出し、「近年の映画ドラマを拝見していて、硬軟どちらの押し合いも力強くて、自在にキャラクターを作っていく演技に注目していた。新しい、みずみずしい渋沢栄一が生まれると期待している、2021年、パワフルでチャーミングな渋沢栄一が生まれると期待している」と評価した。

渋沢は1840年、現在の埼玉県深谷市に生まれ、幕末に幕臣として仕え、明治維新後は新政府で働いた後、日本初の商業銀行「第一国立銀行」の創立に関わり、頭取となった人物。紙幣や国債などへの紙需要を見込み、大規模な製造会社の先駆けとなった王子製紙の創立のほか、東京海上火災保険、帝国ホテルなど数百もの企業の経営に関わり「日本の資本主義の父」と呼ばれる。1931年、91歳で死去した。

4月には麻生太郎財務相が、1万円、5000円、1000円の紙幣(日本銀行券)を全面的に刷新すると発表。1万円札の肖像画に渋沢栄一を用いると発表していた。発行は24年度上期から。

一方、吉沢は2009年「アミューズ全国オーディション2009THE PUSH!マン」を受賞してデビュー後、11~12年の「仮面ライダーフォーゼ」シリーズで人気を得た。出演ドラマは11年NHK「金魚倶楽部」、14年フジテレビ系「ロストデイズ」、18年日本テレビ系「サバイバル・ウェディング」、映画は17年「銀魂」などがあり、演技力では高い評価を得ている。放送中のNHK「なつぞら」では3日の放送で演じる天陽が36歳の若さで亡くなったが、ネット上で「天陽ロス」という言葉が生まれたほどの人気ぶりだ。

来年20年の大河は長谷川博己が主演で明智光秀を演じる「麒麟がくる」。