世界3大映画祭の1つと言われる第76回ベネチア国際映画祭の授賞式が7日に開催され、DCコミックの人気ヒーロー、バットマンの宿敵ジョーカーの誕生を描いた「ジョーカー」(10月4日日米同時公開)が、アメコミ映画史上初となる最高賞にあたる金獅子賞を受賞した。

俳優ホアキン・フェニックス演じる孤独ながらも心優しい男アーサーがいかにして狂気に満ちたジョーカーへと変貌するのかが描かれた作品で、来年のアカデミー賞最有力候補と言われている。8月31日に同映画祭で初お披露目された際は上映後は鳴りやまない拍手とスタンディングオベーションで、批評家も大絶賛する盛況ぶりが話題になっていた。伊俳優ルカ・マリネッリ(「マーティン・エデン」)が男優賞に輝き、ジョーカーを怪演したフェニックスは受賞を逃した。

銀獅子賞の審査員大賞にはロマン・ポランスキー監督の「私は弾劾する」が、同じく銀獅子賞の監督賞には「アバウト・エンドレスネス」でスウェーデンの巨匠ロイ・アンダーソン監督が選ばれた。一方、「万引き家族」(18年)でカンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールを獲得した是枝裕和監督の新作として注目された「真実」は受賞を逃した。(ロサンゼルス=千歳香奈子)