歌舞伎俳優片岡千之助(19)が、師走恒例の京都・南座「吉例顔見世興行」(30日~12月26日)に2年連続で、祖父片岡仁左衛門(75)父片岡孝太郎(51)と親子孫3代で共演する。このほど日刊スポーツの取材に応じ、意気込みを語った。

上品な甘いマスクでさまざまなジャンルのファッションを着こなす千之助は、雑誌や企業広告でも注目の存在。取材には自分で選んだスーツで現れた。

祖父、父と共演するのは昼の部「仮名手本忠臣蔵 祇園一力茶屋の場」。主人公大星由良之助の息子力弥を演じる千之助は「いつかやれたらいいと思っていた役」と感慨深げだ。物語に緊張感をもたらす難しい役。子役が演じる場合もあるが、祖父からは「大人がやる力弥を」とアドバイスを受けた。

千之助は「きゃしゃな部分がありながら、あだ討ちをする目的を持っている。役に真摯(しんし)に向き合いたい」と話す。父には役の気持ちになりきることが松嶋屋のかたちだと教わった。「とにかく大好きであこがれで尊敬している」という祖父と父、2人の教えを胸に挑む。

青学大2年生。文学部比較芸術学科で西洋、東洋、さまざまな演劇を学んでおり、歌舞伎につながる手応えも感じる。来年迎える20歳の目標は「その年のベストを尽くすだけ」ときっぱり言い「祖父とお酒を飲みたい。ワクワクしてます」と笑った。夜の部「堀川波の鼓」「越後獅子」にも出演。【小林千穂】

◆片岡千之助(かたおか・せんのすけ)2000年(平12)3月1日、東京都生まれ。03年7月大阪松竹座「男女道成寺」で初お目見え。04年11月歌舞伎座「お祭り」で、初代片岡千之助を名のり初舞台。中学時代はハンドボール部、高校時代は陸上部で短距離に取り組んだ。