俳優阿部寛(55)主演の連続ドラマ「まだ結婚できない男」(火曜午後9時)の最終回が10日に放送される。

前作の「結婚できない男」以来、13年ぶりの人気シリーズの第2弾。阿部が演じる独身の建築家・桑野信介は偏屈で皮肉屋。趣味のクラシック音楽を大音響で聞いて、その音色に合わせて指揮棒を振りながらうっとりする“性癖”を持つ。

桑野と何かと対立する弁護士・吉山まどかを演じる吉田羊(45)は「けんかばかりだと思っていた相手が、実は本音でぶつかり合える貴重な存在だったと気付いた時、途端に相手を意識してしまうってことありますよね。まどかはこれまでも、実はちょこちょこと桑野さんに『おや?』と引っかかることはあったんですが、まさかそれが“良い意味で”だったとは彼女自身も自覚がなかった。まどかが自分の気持ちに気付くんですが、年を重ねた大人の恋心は複雑で、友情が絡めばなおさら。本心とは裏腹な、まどかさんの不器用さにも注目してください」と、純粋に好きなだけでは動けない、繊細な大人の恋愛事情を明かしている。

撮影開始当初は「作品や役に対する、プレッシャーのようなものがあった」という吉田。「『この作品は阿部寛さんである』。これに尽きます。最初こそ感じていたプレッシャーでしたが、毎度桑野さんに巻き込まれていたら自然とあの掛け合いになっていて。『ああ、一人で気負わなくても良かったんだ』と、途中から肩の力が抜けたのを覚えています。私も含め現場にいる全員が桑野さんのことを大好きでワクワクしていました。けれど毎回、その期待を超えてくる阿部さんの役作りの繊細さと緻密さに、俳優としてたくさんの学びをいただけたのも、この作品に参加できた大きな意味となりました。しかし、まどかはつくづく桑野さんに振り回されましたが“振り回されることを幸せに感じる”というのは、やはり私が桑野さんのファンだったからかもしれません(笑い)」と話している。

この作品に出演したことで、吉田の結婚観も変わった。「これまでは、人生で一度は結婚したいと思っていましたが、今回、桑野さんのセリフには共感しかなく、まして桑野さんが幸せそうなものだから、このまま一人でも楽しく生きられそうだなと思ってしまいました。私が生涯独身だったら、桑野さんのせいです」と笑っている。

最終回では、桑野(阿部)が家の設計を担当している木村(伊藤正之)と離婚しようと思っている妻が、建築差し止めの訴訟を起こす。しかも妻の弁護人はまどか(吉田)で、夫側の証人として出廷することになった桑野は、法廷でまどかと相対することになる。

カフェ店長の田中有希江(稲森いずみ)や若手女優の戸波早紀(深川麻衣)が見守るなか、開かれた裁判では、一同が心配した通り、桑野とまどかの論争がヒートアップ。しかし、まどかのある言葉が桑野の胸に響く。また、そんな2人の姿を見た有希江の胸にもある思いが…。

そんななか、長野で暮らす母親の体調が良くないと知ったまどかは、地元に戻って母親の弁護士事務所を継ぐべきか迷っていた。話を聞いた有希江は複雑な心境。一方、事情を知らない桑野は「見てほしいものがある」とまどかの事務所へやって来て、ある設計図を取り出す。

持ち前の偏屈さと独りを愛する性格ゆえ、結婚はもちろん恋人も作らず、これまで独身を謳歌(おうか)してきた桑野。しかし、ケンカしながらも関係を深めてきたまどか、桑野を好意的に見守ってきた有希江が、揺らぐことのなかった桑野の人生観に変化をもたらすのか。人生100年時代。桑野が最後に選ぶ幸せとは…。