佐藤浩市(59)が10日、大阪市内で東日本大震災による原発事故を描いた映画「Fukushima 50(フクシマフィフティ)」(若松節朗監督、3月6日公開)の舞台あいさつに登壇した。渡辺謙とともに主演を務める佐藤は「正直、題材としても危険だなと。まだ早いんじゃないかなと」。若松監督から最前線の現場にいた人々を描きたいとの説明を受け、「最後まで一緒に走りましょう」と出演を決めたという。

原作は門田隆将氏のドキュメンタリー「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」。タイトルの「Fukushima50」は事故以降、決死の覚悟で現場に残り続けた50人の作業員のことを海外メディアが紹介した時の呼び方。佐藤は、福島第1原発1・2号機当直長・伊崎利夫を、渡辺は吉田昌郎元所長(故人)を演じている。5日間を数週間かけて撮影した。暗闇の中での撮影にも「中盤から防護服をつけるので、セリフも不明瞭になっていく。専門用語も飛び交う。スタッフがマイナス要素だと思っていたことが、ある種、すべてがいい方に転化したとまでは言わないけど、表情は分からなくても、なにかが分かる。セリフの不明瞭もリアルに聞こえてくる。そういった意味で映画の神様がいた」と振り返った。

舞台あいさつに出席した火野正平(70)は「約3週間、オッサンばっかり。むさ苦しかった」と笑わせた。

佐藤は「災害は深い爪痕しか残さないけど、負の遺産で終わらせないで、次の世代にバトンを渡したい映画です」と熱く語った。

同映画は73の国と地域で公開予定。