宝塚歌劇団の雪組トップスター望海風斗(のぞみ・ふうと)とともに、10月11日付で退団する同組トップ娘役真彩希帆(まあや・きほ)が18日午後、兵庫県宝塚市内の同劇団で、退団会見を開いた。

「神様ありがとう、望海さんありがとう、そして宝塚の皆さんありがとう。大好きな方と一緒に始まって、一緒に終われる。大切な時を過ごす、特別の約束をいただいた」

「特別な人」と言う望海との添い遂げが実現し、感謝の思いを口にした。

望海はこの日午前、大阪市内のホテルで会見し、昨夏の本拠地作「壬生義士伝」宝塚公演中に、退団を意識したと明かしたが、真彩も、その変化を感じていた。「やはり、言葉にはなさらなくても、雪組の皆を見る目、パレードの時の表情から、思っていることがあるのかな」と、明かした。

真彩は12年入団。月組の組回りを経て13年に花組配属。14年に星組、16年「鈴蘭」でバウ初ヒロイン。17年に雪組へ移り、同年に望海の相手娘役に迎えられた。身長164センチ。宝塚音楽学校は男役志望で初受験し、不合格。翌年、娘役を志して合格。若くして5組全組に出演した異色の経歴を持つ。

歌、ダンス、芝居とも抜群の技量を誇る望海の相手役に迎えられ、雪組トップ娘役として退くことに「雪組は特別(な思い出)…泣けてきました」と涙。望海からは就任時「1人の女性としてきれいに成長するように、美しく輝いていてほしい」との言葉を受けた。

トップ初作品だった17年全国ツアー「琥珀色の雨にぬれて」の初日には、望海からネックレスをもらった。この日、首もとにはそのネックレス。「やっと、似合う…このネックレスが体の一部になる娘役になれたかな、と思います」と言い、首に手をやった。

「望海さんの隣にいることに値する娘役さんになれるのか」。つねに自問自答の日々だったといい、稽古を重ねる日常も「一番幸せなところだった」。望海も「2人で手をつなぐというより、闘ってきた」と振り返っていたが、真彩も「今はできなくても、いつかはできるようになる-そう信じて、しがみついて、離れずに一緒の方向に向かってきて…だから幸せです」。

望海からは昨年9月、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」の製作発表後に、退団の意向を告げられた。「即座に『ご一緒したら迷惑ですか』とお聞きし、望海さんから『私もそれが本望です』とおっしゃってもらえた」。

同時退団が決まり「歌でも、お芝居でも、ダンスでも、最後まで望海さんについて、時には闘いながら、寄り添っていきたい」と話すと、笑顔を取り戻した。

退団後へは、まだ思いも及ばないが「必要とされたら現れるか…も…。でも、歌うことは大好きなので、舞台ではなくても、家では歌っているでしょうね」と笑わせていた。

退団公演「ミュージカル・シンフォニア『fff -フォルティッシッシモ-』~歓喜に歌え!~」「レビュー・アラベスク『シルクロード~盗賊と宝石~』」は、兵庫・宝塚大劇場で7月17日に開幕。東京宝塚劇場千秋楽の10月11日をもって、真彩は望海とともに退団する。