国内最大級のファッションイベント「第30回マイナビ東京ガールズコレクション(TGC)2020 SPRING/SUMMER」が2月29日、東京・代々木第1体育館で行われた。のべ3万人を動員予定も、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、05年から開始の同イベント史上初の無観客で開催。ネット配信などSNSを強化し、短期間で内容を再構成するなど異例の対応を行った。

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普段は約3万人の大歓声を浴びて歩くランウエーも、この日はBGMとカメラのシャッター音だけが会場内に響いた。異例の無観客でのファッションショー。モデル84人やゲスト出演者41組は、配信アプリ「LINE LIVE」の向こう側のファンに、アピールした。香里奈(36)は「やっぱり寂しい。お客さんのありがたさが分かった」。中条あやみ(23)も「(自分の名前が書かれた)ボードを見つけるのを楽しみにしていたので」と話した。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、政府による文化イベント中止要請の約1時間前の26日正午に、無観客での開催を発表。実行委員会の池田友紀子チーフプロデューサーによると、発表前から不安や、延期を望む声など、問い合わせが相次いでいたといい「安心安全であることが支持されて15年続いてきたイベント。少しの不安があってはならないと、今回は無観客という判断をさせていただきました」。

イベント中止の選択肢もあったというが「経済活動を止めてはならない」(池田氏)と開催に向けて、2日半ほどの時間の中で準備してきた。入場口の外に手洗い場や、会場内に消毒液を設置。出演者への差し入れも、個包装されたものに限るなど対応した。

また、イベント内容も生配信を意識したものに再構築。配信向けのコーナーを作り、チケット保有者に対しては、SNSでチケット画像を投稿すると、見たかったモデルから生電話がかかるといった企画を準備。来場者に配布予定だったグッズなどは、今後プレゼントするという。

BLACKPINK、河北麻友子(28)ら出演を見合わせた出演者もいたが、常時25万~30万人が配信を見守った。TGCを運営する「W TOKYO」の村上範義社長は、配信終了後にステージで「この状況の中、数百万人の方に見せることができたのはよかった。次回9月はお客さんがパンパンの中で迎えられれば」と前を向いていた。