来年2月14日付で退団する宝塚歌劇団の月組トップスター珠城りょうが17日、大阪市内で退団会見を開き、昨年の月組新体制時期に決意したと明かした。

昨春に2番手スターだった美弥るりかが去り、退団を意識した。涙ながらに「今まで耐えて、背負ってきたもの、少しずつ下ろしていいかなと思うように」。異例11カ月前の発表は「下級生に『自分たちが背負っていかなくては』と踏み出してほしい」と説明した。

「男役10年」の宝塚にあって、近年では天海祐希に次ぐ9年目でスピード就任。珠城は「トップスターは孤独と言いますが、組のみんなに支えられ、孤独を感じたことはなかった」。後輩には「120%の努力と100%の強い意志、60%の勇気があれば」と、メッセージを送った。

学生時代は運動部で主将も務め、男役として恵まれた体格を生かしたダイナミックなダンスも武器。下級生時代から抜てきが続き、目指した「包容力のある男役」は当代有数。理想に近づきつつある中での退団になった。大先輩の天海には「失礼」と思いながらも「私はただ全力で、がむしゃらに、ただ走ってきた」。トップ就任でも遅くはない14年目直前で去ることに「凝縮した濃い経験」「悔いはない」と前を向いた。

組子には16日の稽古前に伝え、自らが先に涙。相手娘役の美園さくらには今年1月に告白した。組へ、ファンへ、思いを聞かれるたび、感涙。「一緒に耐えて、闘ってくれたファンの方がいなければ、私は今ここにいない」と深謝した。

退団後の活動は未定で「最後まで男役を追求し、楽しみたい」と誓った。

退団公演「桜嵐記(おうらんき)」「Dreamer Chaser」の東京宝塚劇場千秋楽をもって退団する。【村上久美子】

○…新型コロナウイルスの影響で、直近の御園座公演「赤と黒」は2月29日から千秋楽予定の3月4日までが中止になった。思い出作のひとつに同作をあげ「宝塚のすばらしい世界観」をあらためて実感したという。「包容力のある男役」を体現し、珠城の持つ魅力が存分に発揮された作品だった。この日は「感染症流行の中、駆け付けていただき、感謝でいっぱいです」と礼を言い、会見に入った。

◆珠城(たまき)りょう10月4日、愛知県生まれ。08年入団。月組配属。10年新人公演初主演。16年9月、近年では7年目天海祐希に次ぐスピードで月組トップ。在位約4年半。本拠お披露目「グランドホテル」や「エリザベート」など、大作、海外ミュージカルに多く主演。4月24日開幕の次回本拠地作ショーは坂東玉三郎監修で話題に。9月には宝塚バウホールで有栖川有栖氏の小説を原作にした「幽霊刑事~サヨナラする、その前に~」主演も決定。身長172センチ。愛称「りょう」「たまき」。