音楽番組「THE★カラオケバトル」(テレビ東京系列)などで活躍した北海道・旭川市出身の原藤由衣さん(18)は、看護学校に通いながら、大好きな音楽を届けていく。「旭川で応援してくださる方もいる。地域に根付いたイベント活動をメインに歌っていきたい」。大手芸能事務所からの誘いに「憧れはあった」が、歌手への道を捨て、自分のスタイルで歌を続ける。

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通っていた旭川高専に音楽部はなく「うずうずしていた高1」の終わり。カラオケ採点で順位を決める同番組が出演者を募集していることを知り、携帯電話に録音していた松田聖子の「赤いスイートピー」を送った。それが、思いもよらない生活の始まりだった。

すぐに番組関係者から「顔出しで5曲くらい歌って(動画を)送って欲しい」と連絡がきた。最初に送ったのは音声だけ。純粋に歌声が認められた。番組初出演では「緊張で記憶がない」中、村下孝蔵の「初恋」を歌い99点台を記録。初出場で決勝に進み、脚光を浴びた。

キュートなルックスで昭和のアイドル曲を歌う姿に加え「作業着を着てエンジン分解をしていた」高専生というギャップで人気は高まり、計8度出演。薬師丸ひろ子の「セーラー服と機関銃」で100点も出した。昨年2月には「U18歌うま甲子園新人王決定戦」で優勝。イベントやライブのオファーも増えて充実した音楽生活を送った。

それでも、春からは母と同じ看護師になるために医療の道に進む。新型コロナウイルスの影響もあるが、看護学生として地元でイベントに出演していくつもり。「『パプリカ』を歌うと子どもたちも一緒に歌ってくれるんです」。楽しそうに笑う18歳のナースの卵は、生まれ故郷に歌声を響かせる。【浅水友輝】

◆原藤由衣(はらふじ・ゆい)2001年(平13)9月3日、旭川市生まれ。旭川高台小3年で合唱団に入ると、北海道教大旭川中では音楽部。旭川高専では40人中2人しか女子がいないシステム制御情報工学科に通いながらバスケットボール部に所属。小学4年から高校2年まではヒップホップダンスも並行。普段はaikoやK-POPなどの音楽も聴く。お笑い番組が好きで、お気に入り芸人は「かが屋」。163センチ。家族は両親と弟。