約20年間、住み慣れた伊豆を舞台にした悲恋歌が、ロングヒットの兆しを見せている。歌手竹川美子(みこ、41)は今年2月、23枚目のソロシングル「伊豆の夕月」(作詞・高畠じゅん子、作曲・叶弦大、編曲・伊戸のりお)を発売。デビュー前の修業時代から暮らした伊豆長岡温泉の情景を歌い上げている。オリジナルでは初の「伊豆・ご当地ソング」に懸ける思いを語った。

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-2014年発売の「下田慕情」に続く伊豆半島の歌になりました

竹川 「下田慕情」はカバー曲なので、オリジナルで伊豆の歌を出すのは初めて。私が20年、過ごしてきた大事な場所を歌わせてもらって、恩返しをしていきたい。私の歌を通じて、長岡温泉に行ってみようかなと思っていただけたら、うれしいです。

-歌詞にも思い入れがありますね

竹川 私が暮らした温泉町が舞台。狩野川や「あやめ小路」は実在しています。恋をなくした女性が、浴衣姿でさまよう様子を描く歌詞。伊豆長岡駅の周辺で流してもらえれば、ピッタリの曲です(笑い)。

-ファンの注目度も増しているようです

竹川 CDの売り上げがじわじわと伸びて、好調な流れです。「聞き飽きない」とか「何回聞いてもいい歌だ」などと、メッセージをもらいました。レコード会社の動画公式チャンネルでは、視聴回数が5万6000を超えました。

-カップリング曲の「伊豆のすごろく」には、熱海、伊東、稲取、下田など、伊豆の地名が満載です

竹川 伊豆半島をすごろくで巡ろうという楽しい曲。伊豆の歌は多いですが、こんなに楽しい歌はないのでは。ロック調でノリノリで、合いの手を入れてもらうところもあります。

-今後について

竹川 新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。1日でも早く、みんなが笑顔で過ごせるようになるのを願っています。個人的には、日本舞踊や三味線、長唄のお稽古を続けて、「和の世界」で頑張りたい。毎年12月31日はスケジュールを空けているんですけど(笑い)。NHKの紅白歌合戦に呼ばれるような歌い手を目指します。【聞き手・柴田寛人】

◆竹川美子(たけがわ・みこ)1979年(昭54)1月6日、広島県生まれ。テレビ番組で作曲家・叶弦大氏と出会い、97年から師事。98年から伊豆長岡で内弟子生活。03年に「江釣子のおんな」でデビューし、20万枚のヒット。日本レコード大賞・日本作曲家協会奨励賞など、受賞多数。