俳優伊勢谷友介容疑者（44）が8日、東京都目黒区の自宅で大麻を所持したとして、大麻取締法違反容疑で警視庁に現行犯逮捕された。自宅からは乾燥大麻が見つかったが、捜査関係者によると「弁護士さんが来てからお話ししたいと思います」と認否を留保しているという。同容疑者は俳優業の傍ら、社会貢献活動を行い昨年は都内に高校を開校。4月からはユーチューバーとして活動の幅を広げていた矢先の逮捕だった。

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伊勢谷容疑者は、8日午後3時10分ごろから警視庁組織犯罪対策5課の家宅捜索を受け、自宅に1人でいたところを現行犯逮捕された。リビングの机の引き出しから乾燥大麻4袋（計約20・3グラム、末端価格12万円相当）が見つかった。逮捕2日前の6日に、来年公開の吉永小百合（75）主演映画「いのちの停車場」の撮影を終えたばかりだった。

逮捕容疑は8日午後4時40分ごろ、自宅で4袋のうちの1袋（約7・8グラム）を所持した疑い。同課は同容疑者が大麻を所持しているとの情報を得て内偵捜査を続けていた。机の上には大麻吸引に使うとみられる、たばこの巻紙などもあり使用していたとみて調べる。この日午後9時近くに同容疑者が乗っているとみられる車が留置先の東京湾岸署に入ったが、カーテンは閉められ姿は見えなかった。

伊勢谷容疑者は、7月21日に亡くなった世界的なデザイナー山本寛斎さん（享年76）を異母兄に持ち、その影響でデザイナーを志し東京芸大に入学。フランシス・コッポラ監督の「ドラキュラ」を見て映画監督を志した。在学中の96年にモデルとしてデビューし、98年に是枝裕和監督の映画「ワンダフルライフ」（公開は99年）で俳優デビュー。甘いマスクに知性を兼ね備え一躍、人気者となった。人気女優、芸能人との浮名も数多く流し芸能メディアに追われる存在となった。

一方で02年に東京芸大大学院を修了後、自然環境の悪化を問題視し、08年に地球と社会環境を見つめ直し、新生活を想像する「REBIRTH　PROJECT」を発足。廃材から美術品を作るなどの活動を始め、08年5月に株式会社化し代表に就任した。

近年は、次世代の人材育成に意欲を見せていた。15年6月、NHK大河ドラマ「花燃ゆ」で演じた吉田松陰主宰の松下村塾を現代に復活させるとして大学生、大学院生を対象に講座を開講。昨年4月には都内で、既存の教育システムにとらわれず担任を置かない「ルークス高等学院」を設立し学長に就任した。

伊勢谷容疑者は12年2月、自身の公式ツイッターに寄せられたユーザーからの「大麻を使用したことで人生を無駄にはしてほしくない」とのツイートに「大麻で人生崩壊するのは難しいと思うけどな。それならお酒の方が簡単だ」と返したことがある。03年の初監督映画「カクト」では、大麻を買いに行きトラブルに巻き込まれる少年を描いた。

伊勢谷容疑者は山本さんが亡くなった際、SNSで「『世界基準でやりたい様にやる』あなたに負けず、僕は『すべての人が容易（たやす）く生きれる社会』を現実にしたい」とつづったが決意を自ら裏切った。

◆伊勢谷友介（いせや・ゆうすけ）本名同じ。1976年（昭51）5月29日、東京生まれ。日大豊山高から東京芸大に進み、在学中の96年にモデルとして芸能界デビュー。98年にニューヨーク大映画コースに留学し映像制作を学ぶ。同年の映画「ワンダフルライフ」（是枝裕和監督）で俳優デビューし、00年の映画「金髪の草原」で初主演。03年には初監督映画「カクト」を公開。11年の「あしたのジョー」「カイジ2～人生奪回ゲーム～」でブルーリボン賞助演男優賞受賞。12年に2本目の監督作「セイジ－陸の魚－」が公開。180センチ。血液型A。