角川春樹氏(78)の最後の監督作品「みをつくし料理帖」の公開に合わせ、先日、主題歌担当の松任谷由実(66)とのトークショーが開催された。

「ねらわれた学園」にユーミンが主題歌「守ってあげたい」を提供して以来40年の付き合いという。さすが実家が呉服店のユーミンは和服姿が決まっていた。一見無地にチョウの模様が浮かび上がり、帯にはクモの巣の図柄があしらわれている。

「チョウが春樹さんで、それをからめ捕るクモが私のつもり」と、ユーミンははたから見るイメージとは逆のことを言った。少女2人の友情が今回の作品のテーマだが「意外に思うかもしれないけど、春樹さんの本質は少女っぽいところがある。だから、最後に今回の作品を選んだのも私なりに理解できる」とも。

麻薬密輸事件で逮捕された角川氏が千葉刑務所に収監された94年に発売されたのがユーミンの「春よ来い」。角川氏は「刑務所の中で聞いて、心に染みたね。早く出たい、春よ来い…まさにあの時の気持ちそのままだったから」と振り返った。人生の節目に不思議な縁があるようだ。

今回の主題歌は「散りてなお」。少女2人の心情に寄り添う優しい曲だ。角川映画になぜユーミンの曲はピタリとはまるのか。イベントの後半は映像と音楽を巡るあうんのやりとりでトークは弾み、ヒットメーカー同士ならではのコラボレーションを実感させた。