米首都ワシントンの連邦議会議事堂に6日、バイデン次期大統領の当選に抗議するトランプ大統領の支持者たちがバリケードを突破して乱入し、一時占拠した事件を受けて米メディアは「デモ隊は愛国者ではない。米民主主義に対する前代未聞の攻撃だ」と伝えている。

デモ隊の一部は武装しており、米メディアによると混乱の中で支持者の女性1人が当局に撃たれるなどして少なくとも4人が死亡し、複数のパイプ爆弾も見つかっている。

68人の逮捕者が出ているが、議事堂に乱入した多くの群衆は逮捕されないまま現場を立ち去っており、当局への批判の声も出ている。また、デモ隊がバリケードを容易に突破できたことについても、ネットでは黒人に対する人種差別を訴えるブラック・ライブズ・マター(BLM=黒人の命は大切)運動のデモ隊への対応に比べると緩すぎるとの声が相次いでおり、「警察は白人には甘い」と批判が殺到している。

そんな中、デモ隊の議事堂乱入に先立ってツイッターで大統領選の敗北は不正によるものだと主張して議事堂に向かうよう支持者をあおっていたトランプ大統領に対し、即時免職を協議しているとの報道もあり、ハリウッドスターたちもSNSで抗議のメッセージを投稿している。

米映画「バットマン」シリーズで知られる俳優マイケル・キートン(69)は、「70年代に戦争に抗議するデモに参加した時、催涙ガスが充満する中追いかけられた。今日、警察官が(それと同じことを)しなかったことはとてもショックだった。平和的なBLMのデモでは完璧に準備されていたのにだ」とツイート。歌手ピンクも「米国民として、退役軍人の娘として、今ワシントンで起きていることを恥じている。非愛国的な偽善者たちが、誤った選択をしている。今日はアメリカにとって悲しい日です」とつづっている。

俳優マーク・ラファロは「これはトランプと共謀者たちによるクーデターの試みだ。全てはトランプとトランプ政権の責任。共和党の臆病者は責任を問われなければならない」と怒りのツイートをしている。

他にも俳優アシュトン・カッチャーが「平和的な政権移行を支持しよう!!それが愛国心だ」とコメントし、クリス・エバンズは「言葉がない」と、ひと言つぶやいている。

規約違反があったとしてツイッターとフェイスブックを一時凍結されたトランプ大統領は、支持者に向けて得意のツイートをすることもできず、事件を受けてポッティンジャー大統領副補佐官ら側近の相次ぐ辞任で孤立した一夜を過ごしたと伝えられている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)