俳優中井貴一(59)が10日、自身のブログを更新し、肺炎のために亡くなったTBSの演出家で、社長室顧問の鴨下信一さん(享年85)を追悼した。

中井は、同局系ドラマ「ふぞろいの林檎たち」シリーズ(83年~)で鴨下さんから演出を受けた。

「ひと時代の終演」と題してブログを更新。

「TBS鴨下信一さんの訃報に接し、40年近く前、『ふぞろいの林檎たち』の撮影現場での思い出が、走馬灯のように、頭を駆け巡りました。芸能界の右も左も、芝居の右も左も、まだまだあやふやだったあの頃、本当に厳しく、時には罵声を浴びせられながら、役者が役を生きる術を教えて頂きました」とドラマの撮影時を振り返った。

「毎日、現場に行くことが辛く、怖く、自分の実力の無さに、打ちのめされる日々。でも、振り返ると、あの厳しく辛い時間があったからこそ、作品も名作として残り、私も40年仕事を続けてこられたのだと、今は感謝しか有りません」と感謝した。

そして「ふぞろいシリーズが終わる頃、鴨下さんと二人だけで話す機会がありました。その時、『中井君ね、俺も色んな役者さんと仕事してきたけど、長く残ってる人は、やっぱり人間性なんだよなー。大切なのは、一年一年人間を磨くこと。』と言われたことがありました」と思い出深いエピソードを明かした。「役者バカになることを教えられてきたと思っていた私には、ちょっと意外で、今も心に残っている言葉です。鴨さん、これからも、自分の最期まで、人間を磨くつもりでおります。ゆっくり、休んでください。合掌。」と悼んだ。