宝塚歌劇としては約8年ぶり5回目となる「ロミオとジュリエット」が14日、兵庫・宝塚大劇場で、星組公演として開幕した。主演は星組トップ礼真琴と、相手娘役・舞空瞳。劇団きってのダンサー・トップコンビが、フィナーレで同演目では異色の“フラメンコ調デュエット”も披露した。

  ◇   ◇   ◇

世界で最も有名な純愛劇、悲恋物語は、10年に星組で初演、雪組、月組を経て、13年には本拠地作として星組で再演された。以来の宝塚上演。10年の宝塚初演時には2年目で表現者ダンサーの「愛」に抜てき、星組再演時の13年には新人公演でロミオを演じた礼が、シンプルな衣装で繊細でナイーブな新しいロミオ像を見せた。

礼は、ロミオのキャラクターを掘り下げ「やればやるほど、すごく、受け身な男性だな、との印象があった」と言い、ジュリエットの行動力に引っ張られるロミオを作り上げた。「ジュリエットにいい意味で振り回されていくのも、彼の魅力かな」とも笑う。

有名な恋愛劇には「皆さんが知っている曲で、知っているストーリーで、その中で、期待にこたえたい気持ちと、そこはあえて裏切っていきたいという気持ちもある」とも言い、コロナ禍で班別に分かれた稽古を重ねてきた。

誰もが知っている展開の魅力には「すべてにおいて歯車が狂っている。あとほんのちょっと! あと10秒遅ければ! 全部、皆さんが知りながら見ているおもしろさ」ととらえ、そこが「悲劇なのに、喜劇にも見える」奥深さにつながっていると分析もしてきた。

相手役のジュリエットを演じる舞空も、16年入団のまだ5年目(研5)ながらも、芯の強さを持つ16歳少女のジュリエットを好演。潤色・演出の小池修一郎氏から「純粋で無邪気な女の子であり、加えて、自分の強さを貫く強さがあり、ロミオとの出会いを経て、女性としての魅力に変わっていく」と言われたといい、ロミオとの新たな関係性を生み出すべく臨む。

礼とのコンビは、劇団きってのダンス技量を誇り、フィナーレでは、フラメンコ調のデュエットダンスを踊る。多様な角度から「新しいロミオとジュリエット」を提示している。

今作は、役代わり公演で、初日のこの日は、ジュリエットのいとこで、ロミオの敵役になるティボルトは、色香漂う2番手スター愛月ひかるが熱演。ロミオの親友ベンヴォーリオは礼と同期の瀬央ゆりあ、同じく親友のマーキューシオは期待の若手スター極美慎がふんした。

ティボルトは愛月、瀬央、ベンヴォーリオは瀬央、綺城ひか理、マーキューシオは極美、天華えま、など、主要キャストが多数役代わりとなっている。