助演女優賞は「ミナリ」に出演したユン・ヨジョン(73)が、韓国人俳優として史上初のオスカーに輝いた。アジア系俳優の同賞受賞は、1958年(昭33)の第30回でアジア系俳優初のオスカーを獲得したナンシー梅木さん以来、63年ぶり。

ユン・ヨジョンは受賞の瞬間、両手を合わせて感謝し、登壇するとプレゼンターを務めた米俳優ブラッド・ピットに「ピットさん、お会いできてうれしいです。なぜ、もっと早くお会いできなかったのでしょうか?」と笑みを浮かべた。そして「ご存じのように私は韓国出身です。ユジョンとも呼ばれますが、何と呼ばれても今日は許しますよ。授賞式はいつもテレビで見ていたんです。私にとってテレビ番組…でも、実際に来ることが出来た。信じられない」と感激した。

ユン・ヨジョンは、1972年(昭47)に歌手趙英男と結婚したのを機に渡米。85年に離婚し、韓国に帰国して芸能界に復帰した経緯があり、堪能な英語でスピーチした。「競争は好ましくない。少しだけラッキーだったため。米国のおもてなしという気持ちでしょうか? ありがとうございます」とノミネートされた他の女優を気遣った。そして「2人の息子…男の子たちにも感謝したい。ママは一生懸命、仕事したから受賞できました」と米国で生んだ息子2人にメッセージを送った。

「ミナリ」は80年代の米国南部を舞台に、農業で一旗揚げようとする韓国出身の移民の家族を描き、ユン・ヨジョンは2人の子どもを育てる娘を助けようと韓国からやってきた花札好きのおばあちゃんを演じた。同作は作品賞、監督賞、主演男優賞、助演女優賞など6部門にノミネートされた。