市川海老蔵(43)が主演・演出を務める「海老蔵歌舞伎」について、東京・明治座に続き、4日から演出内容を一部変更して京都・南座でも開幕した。演出変更をめぐり、一夜明けた5日午前、南座は、観客からの意見に「今のところ何もないです」と語った。

松竹は、新作歌舞伎舞踊「KABUKU」に「差別的」な場面があるとインターネット上などで批判が相次ぎ、南座公演の内容を一部変更して、4日から上演を始めていた。

作品は、新型コロナウイルスの感染拡大で混乱が続く中「人々が再びひとつになる」と願い、制作。5月下旬の明治座公演では、地獄の場面で中国人や日本人を思わせる人物が疫病について話す場面があり、これをめぐって、ネット上で「中国人差別」と批判の声が広がっていた。

また、今公演では、海老蔵が、長男堀越勸玄君(8)と共演。南座では初の親子共演となった。「実盛物語」で、海老蔵が平家の武将・実盛にふんし、物語の鍵を握る太郎吉を勸玄君が演じ、実盛が太郎吉を馬に乗せる場面など、見どころも多い。

「実盛-」をめぐっては、56年に海老蔵の祖父11代目市川團十郎さん(当時9代目海老蔵)と、父12代目團十郎さん(当時市川夏雄)が、87年に父團十郎さんと海老蔵(当時7代目新之助)も共演している。

東京・明治座に続く上演で、海老蔵は「歌舞伎発祥の地といわれる京都に建つ南座の舞台に、せがれの勸玄が立てたこと、そして親子で共演できたことは非常に感慨深く、とてもうれしく思っております」とコメントした。

コロナ禍での上演には「改めて1回の舞台の大切さ、ありがたさ、そして、せがれ勸玄の成長を感じております。(若手公演にも出演している)中村児太郎さん、市川九團次さん、大谷廣松さんら若手俳優も大役に挑むことでさらに研さんを積み、成長していけますよう、ご声援を賜りますとありがたく存じます」と述べた。

公演は13日まで。