菅義偉首相(72)の素顔に迫ったドキュメンタリー映画「パンケーキを毒見する」(30日公開)の河村光庸エグゼクティブプロデューサーと内山雄人監督が28日、都内の日本外国特派員協会で会見を開いた。

河村氏は、東京オリンピック(五輪)開催期間中に映画を公開する狙いについて「今はオリンピックの渦中にあります。30日の公開は約10カ月前から決めておりました。五輪を政治利用しようとする政権に真っ向からNOを突きつけたい」と声を大にした。

河村氏は、6月23日に都内で「パンケーキを毒見する」の特別内覧試写会を2回、開催後、同24日に突如、公式ツイッターアカウントが凍結された件について触れ「意図的なものを感じたものですから、書留と速達をツイッター社に送った。6月28日は正式な内容証明を送った。でも、私たちには説明はございません」と疑問を呈した。

さらに政府が、飲食店が新型コロナウイルスの感染対策を講じているか、グルメサイトの「食べログ」「ぐるなび」「ホットペッパーグルメ」の利用客のアンケートを通じ、対策が不徹底な店が見つかれば、都道府県に改善を指導させる件についても触れ「コロナ禍の飲食店の監視を『ぐるなび』にさせ、ツイッターまで…民間に圧力をかけ、分断を発生させることが行われている」と批判。

「パンケーキを毒見する」は、19年の映画「新聞記者」でも現在の日本の政権、政治と社会に疑問を投げかけた河村氏が陣頭指揮を執り、製作。公開日を東京オリンピック(五輪)期間中の30日をあえて選んだ。同氏は、映画「宮本から君へ」(真利子哲也監督)が助成金交付内定後に下された不交付決定の行政処分の取り消しを求めて、文化庁所管の独立行政法人「日本芸術文化振興会」(芸文振)を訴えた裁判で、6月21日に不幸不処分の取り消しを命じる判決を勝ち取ったが、芸文振が5日に控訴している。

また河村氏は、米国の文化人類学者ルース・ベネディクトが1943年(昭18)に発表した「菊と刀」を引き合いに「日本の特色を恥の文化と称した。外面、周りを気にする…それは今の空気を読む、忖度(そんたく)につながっているのではないか?」と指摘。その上で「それと同時に外圧に弱い。問題が国内メディア、特に、テレビのひどさです。この半年間…特に五輪にはさまざまな問題が起きています。隠したいということは、大きな問題がたくさんあったということ。国内メディアは周りを見て忖度(そんたく)し、反応しない。海外メディアが報道して、初めて問題が明らかになります」と訴えた。