NBAニューオリンズ・ペリカンズのジャクソン・ヘイズ(21)が7月28日に米ロサンゼルス郊外の自宅で恋人への暴行容疑で逮捕された際の映像が先月末に公開され、昨年5月に警察官によって殺害されたジョージ・フロイドさん事件を彷彿させるとして物議を醸している。

ロサンゼルス市警察は、通報を受けて駆けつけた警察官がヘイズを取り押さえる際の様子が撮影されたボディーカメラの映像を公開。身長2メートルを超えるヘイズを2人がかりで床に押し倒す様子が映っており、1人の警察官はヘイズの首に膝のりになり、もう1人の警察官は抵抗するヘイズを静止させるためスタンガンの一種テーザー銃を胸に突きつける様子も見て取れる。ヘイズは「息ができない」と数回訴えており、警察官に首を膝でおさえつけられて亡くなったフロイドさん事件を思い起こした人もいたようだ。

地元メディアの報道によると警察官は逮捕状を示すことなくヘイズの自宅に踏み込んでおり、危険な行為として禁止されている首への膝のせをしていることから、「人権侵害」だと警察の暴力に反対する活動家からも非難の声が出ているという。同僚の警察官が膝を離すよう忠告したため、膝のりをしていたのは数秒間だったが、警察官の行為が正当だったのどうか今後捜査が行われるこになったと伝えている。恋人が捜査への協力を拒否しているため、ヘイズは現時点で起訴はされていないという。

ヘイズが大声を出して暴力を振るっていると恋人が従妹に携帯メールで助けを求め、通報を受けた警察官が自宅を訪れると、ヘイズは武装はしていなかったものの興奮しており、自宅の前で口論になったという。ヘイズは逮捕時に軽傷を負って病院で手当てを受けたと伝えられている。本人からは正式なコメントは出されていない。

2019年のドラフトで全体8位で指名されNBA入りしたヘイズは、昨季は60試合に出場し、1試合平均7・5点、4・3リバウンドを記録していた。(ロサンゼルス=千歳香奈子)