第32回「高松宮殿下記念世界文化賞」が14日、発表された。

絵画部門でセバスチャン・サルガド(77=ブラジル/フランス)、彫刻部門でジェームズ・タレル(78=米国)、建築部門でグレン・マーカット(85=英国)、音楽部門でヨーヨー・マ(65=米国)の各氏が受賞。演劇、映像部門は該当者がなかった。

若手芸術家奨励制度の対象団体には、イタリアの中央修復研究所付属高等養成所が選ばれた。4部門の受賞者には顕彰メダルと感謝状、賞金1500万円が贈られる。

前日の13日に都内で行われた会見で、主催の日本美術協会会長で演劇・映像部門選考委員長を務める日枝久フジサンケイグループ代表(83)は「演劇・映像部門の受賞が該当者なしとなったが、32回目で初めてのこと。今年の演劇、映像部門の候補者の皆さんは舞台公演などがコロナパンデミックで非常にスケジュールが過密になったため。今年だけの特例です。コロナ禍で授賞式は中止となったが、国境や人種の壁を越えて広がっていく芸術の力を認識している」と話した。

18年まで世界文化賞国際顧問を務めて19年11月に亡くなるまで顧問だった故中曽根康元弘首相を継いで、国際顧問を務めアジア推薦委員会委員長の安倍晋三前首相(66)は「芸術のノーベル賞と称されている賞。中曽根元総理の後を引き継ぐことは大変光栄です。中曽根大勲位は『政治は文化に奉仕する』と言われて、誰よりも芸術文化に理解があった。私も文化芸術の底知れぬ力を確信しています。さまざまな分野における芸術家の方々は国境、時代を超えて感動を与え続ける。芸術家の人々の情熱こそがどんな困難をも乗り越え、世界の平和と繁栄に貢献していくものと信じています」と話した。