米タイム誌が15日、毎年発表する恒例の「世界で最も影響力のある100人」を発表し、テニス女子世界ランキング5位の大坂なおみ(23=日清食品)とロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイムで二刀流として活躍する大谷翔平(27)が選ばれた。日本からは、建築家の隈研吾氏も選出されている。同リストには他に、英王室を離脱したヘンリー王子(37)とメーガン妃(40)夫妻や東京オリンピック(五輪)女子体操団体総合で銀メダルに輝いたシモーネ・バイルズ、歌手ビリー・アイリッシュ、ブリトニー・スピアーズらが名を連ねている。

全豪オープンで2年ぶり2度目の優勝を果たした大坂は、メンタルヘルスを理由に全仏オープンでの記者会見を拒否して問題提起をしたほか、東京五輪では最終聖火ランナーを務めるなどしたことが評価され、2年連続での選出となった。大坂の紹介文を寄稿したNFLシアトル・ホークスのQBラッセル・ウィルソンは、「謙虚さと他人への献身は見事でした。メンタルヘルスに苦しんでいることを正直に話し、彼女の脆弱(ぜいじゃく)性を私たちと共有することができたことは非常に有意義です」とコメント。昨年の全米オープンで警察官に殺害された7人の黒人犠牲者の名前が描かれたマスクを着用して試合に臨んで優勝したことをたたえ、「正義のために戦い、直面する課題についてオープンになれることを示しました。私たちは皆、違いを生み出す能力を持っています。文化を変えたり、社会を変えたり、世界全体を変えたりすることができます。大坂なおみには、それをする力があります」と述べている。

一方、リアル二刀流として大活躍する大谷の紹介文を寄稿したのは、元ニューヨーク・ヤンキースの主砲で現在は解説者のアレックス・ロドリゲス氏。「大谷翔平は、今までみたこともないような素晴らしいシーズンを送っています。マウンドでのスキル、優位性はメジャーリーグ全体で比類のないものです。彼は現代のバンビーノ(ベーブ・ルース)ですが、ベーブ・ルースさえ20以上の盗塁、40本以上の本塁打をマークし、同じシーズンに100マイル(役161キロ)を投げたりはしていません」と述べ、フランケンシュタインのようだと大谷にしかできない偉業を絶賛。また、フィールド上での活躍だけでなく、フィールドの外では紳士的でメディアやファンへの対応の素晴らしさにも言及し、勤勉さが今季のキャリアにつながっているとコメント。大谷の大ファンだと語り、「どうやって今季を終えるのか(結果が)待ちきれません」と締めくくり、103年ぶりとなる2桁勝利・2桁ホームランの大記録に期待を寄せた。(ロサンゼルス=千歳香奈子)