NHK大河ドラマ「青天を衝け」(日曜午後8時)で井上馨を演じる俳優福士誠治(38)がこのほどオンラインで取材会を行った。

福士演じる井上馨は明治維新後大蔵省に入り、吉沢亮(27)演じる渋沢栄一を部下に財政改革に取り組んだ。気性の荒い性格で、馬があった栄一とのコンビは「雷おやじと避雷針」と評されたという。

連続テレビ小説「純情きらり」や時代劇など同局のドラマに多数出演するが、大河ドラマは初出演となった。オファーについて「出演できるんだという喜びが一番にありました。明治という激動の時代に出演させていただける。興奮していた気持ちがあります」と話す。

感情表現が豊かな役柄で「史実には『よく怒る』と書かれている」と福士。人柄については「渋沢とともに世の中を変えるという大きな気持ちを持っている。『青天を衝け』の中だと、無理難題を吹っかける役かな」と笑う。年齢や経験とともに落ち着きを増し「後半は渋沢やみんなとの調和が取れて、井上も空気が読めるようになってくる(笑い)。時代背景とともに環境が人を育てるというか、とげが抜けるというか。次の世の中を作る人に渡していかないとならないという思いが芽生えたり、丸くなっていくのかな」と役作りを語った。

本格出演は明治編からとなるが、現場の印象については「出演者やスタッフの皆さんが作ってきた時間やグルーブを感じるのは、大河ドラマならでは」。座長の吉沢には頼もしさを感じており「吉沢亮という人のファンです。一緒にやっていて楽しい。あんなに気持ちが飛んでくる俳優さんは素晴らしい」と感嘆する。福士がリハーサルの演技以上に豪快に演じると「本番ではあっち(吉沢)もお芝居が変わっていて。ちゃんと気持ちを受けてくれて、発信してくれるのは心地いい。これまで大河を引っ張ってきたのは大きい背中で、こちらが助かっていると思います」。

同世代の俳優も多く、伊藤博文を演じる山崎育三郎(35)については「最近は『育ちゃん』と呼ばせていただいてます」と笑みを浮かべる。2人が初共演するシーンはともに全編英語で、「2人して『青天を衝け』の初シーンが長ったらしい英語だった(笑い)。共感しつつ、2人で『大変だね』と言いながらシーンを進められたことに仲間意識を持って。再会の時は『やってよかったね』と笑いました」と振り返った。

明治編では銀行、郵便、株式会社の設立など日本経済の出発点が描かれ、「日本社会の基盤が明治という時代にできたと感じる。見ている人のふに落ち方が、教科書を読んでいるのとは全く違うと思う」とドラマならではの魅力を語る。「全然遠くない時代だと思うし、自分のおじいちゃんやひいおじいちゃんはこういう時代に生きたのかなと想像できる。何とも言えない興奮だと思います」と話している。【遠藤尚子】