9日に都内の自宅で虚血性心不全のため87歳で亡くなった、作曲家鈴木淳さんの弟子で歌手の叶純子が12日、恩師をしのんだ。

「10日に奥様で作詞家の悠木(圭子)先生に自宅に呼んでいただいて、行ってお別れをしてきました」。ごく内輪の弟子の歌手が集まるなかで、叶は鈴木さんの家にあった写真から遺影に使う写真を選んだ。

叶は鈴木さんと同じ山口県出身。1980年(昭55)に鈴木さんの出身地の防府市で美容師見習いをしている時、カラオケ喫茶で歌っているところを「君、面白い声をしているね。歌うまいから、本物の歌手がレコーディングしてるスタジオで君の声を録ってあげるよ」とスカウトされた。

上京して、翌81年に故黒木憲さんと、黒木憲&NANCYで「粋な夜」を発売してデビュー。翌82年に「酔いどれ涙酒」でソロデビュー。以来、40年にわたって師事してきた。

今年9月には都内の自宅を訪れた。「10月に新曲の『ああ…大阪』を発売したんですけど、カップリングに先生の作った『酒場と云う名の船着き場』を使わせてもらったんです。同門の沢木柳ちゃんが85年に発売していた曲で、柳ちゃんも再リリースすることが決定して2人でご自宅を訪ねて、激励していただきました。87歳になられましたが、すごくお元気で奥様と4人で写真を撮ったのが最後になりました。今回の知らせはビックリしました。残念ですが、最後にちゃんとお話ができていてよかったです」と言う。

「紳士で本当に優しい方でした」と鈴木氏をしのぶ叶だが「ある意味では、とても厳しい方でもありました。デビュー当時にレッスンを受けていた時は本当に怖かったです。でも、先生にスカウトしていただけたからこそ、今でも頑張っていられる。先生には本当に感謝してもしきれません。いつか会えるその日まで、先生の歌を歌い続けて行く事が恩返しになると思う。本当にお世話になりました。ありがとうございます。安らかにお眠りください」と話した。