今年3月で終了するテレビ朝日系長寿料理番組「おかずのクッキング」(土曜午前4時55分)の最終回収録がこのほど行われ、料理研究家・土井善晴氏がコメントを寄せた。

3月26日の最終回で紹介するのは、せりの菜飯、タケノコのお吸いもの、だし巻き卵という、シンプルな“春の一汁一菜”。冒頭、善晴氏は「今日が“最後の晩餐”ですからね、みなさん…これ、言おうと思っていたんですよ(笑い)」とジョークを交えながら収録をスタートさせ、米のとぎ方や、だしの取り方など家庭料理の基本を丁寧にレクチャーした。

番組の終盤には、アシスタントの堂真理子アナウンサー(40)から花束を贈られ、「最初はカメラに向かってほほ笑みかけることができなくて、アナウンサーの人はすごいなと思っていたんです。それが34年やってきて、最近ようやくできてきたかなと思います」と満面の笑みを浮かべた。続けて「とにかく“一汁一菜”でみなさんが元気に幸せになって、自分たちらしい豊かさを作ってほしい。料理を作って食べるという基本に本当の幸せがあると思います」とメッセージを送った。

同番組は1974年4月、“おふくろの味”という言葉を世に広めた料理研究家・土井勝さんがメインを務める「土井勝テレビお料理教室」としてスタート。当初は平日夕方の5分間で、土井さんのやさしい関西弁と家庭料理のレシピで人気を集め、93年からは息子の善晴氏が引き継いだ。48年前は「高校生だった」という善晴氏は「父が体調を崩して、私が番組を受け継ぎましたが、当時、私は修業を終えて2、3年しかたっておらず、血気盛んな若者でした。当時は月曜から金曜までの帯番組で、テキストに掲載する分も合わせて2カ月で60ほどのレシピを考えなければならず、毎号毎号、とにかく何か新しいことをやらなければという思いで苦しみました」と振り返りつつ「1週間に1回は必ず徹夜という状況でなかなか大変だったのですが、何よりもそれが私を鍛えてくれたと思います。ですから、『おかずのクッキング』がなかったら、今の私はありません」と感謝。

最後に「番組は終わりますが、“一汁一菜から始めましょう”というテーマが伝わったのなら、何も言うことはありません。とにかく一汁一菜でみなさんが元気に幸せになってほしい。そして、料理をする人を大切にしてください。それが家族の中でいちばん大事なことだと思います」と力を込めた。