ロシアの軍事侵攻を受けているウクライナを代表する映画人の1人、ヴァレンチン・ヴァシャノヴィチ監督(50)の代表作で、日本未配給の映画2本を緊急上映し、クラウドファンディングを通して上映料から義援金を集めてウクライナの映画人へ支援を行う緊急企画「ウクライナ映画人支援上映会:ヴァレンチン・ヴァシャノヴィチ監督作品上映」が14日、発表された。

2本のうちの1本「リフレクション」(21年)は、世界3大映画祭の1つ、ベネチア映画祭で最高賞の金獅子賞を争う、コンペティション部門に出品。ウクライナ東部の紛争地帯でロシア軍に拘束され、捕虜として命の危機にさらされた外科医を描いた作品で、ロシアとの紛争の酷さを高度に洗練された美学に貫かれた映像で描いたことで、高い評価を受けた。ロシア軍の侵攻を受ける現状と、内容が極めてリンクしており、緊急上映の意義は大きい。もう1本は、19年のベネチア国際映画祭「オリゾンティ」部門で作品賞を受賞、同年の東京国際映画祭コンペティション部門で審査員特別賞を受賞した「アトランティス」(19年)となる。

今回の緊急上映企画は、前東京国際映画祭プログラミング・ディレクターの矢田部吉彦氏が発起人となり、有志を集めて立ち上げた。同氏は同映画祭の在職中にヴァシャノヴィチ監督と親交を深めていたが、ロシアのウクライナ侵攻を受けて「リフレクション」の権利を扱うエージェントからコンタクトがあり、特別に上映許諾をもらい、日本での特別上映会を実施するに至ったという。

今回は、クラウドファンディングのプラットフォームを運営する「モーションギャラリー」を通して、会場費や字幕制作費などの実費をカバー。プロデューサーに一定額を還元するとともに、募集した金額が上映経費を上回った場合には、ウクライナの映画人をサポートする団体に寄贈し「引き続き世界に発信する映画を撮り続けてもらおうと考えています」(関係者)という。

上映作品、場所、日時は

「アトランティス」

<1>ユーロスペース:29日午後7時半開映

<2>ユーロライブ:30日午後6時開映

「リフレクション」

<1>ユーロライブ:30日午後9時開映

<2>ユーロスペース:31日午後7時半開映