日本テレビは28日、都内の同局で社長定例会見を行い、21日深夜に生放送したバラエティー番組「午前0時の森」で、出演者が女性の身体的特徴に関する性的な発言や、アフリカの一部地域への差別表現を発して公式サイトに謝罪文を掲載した件について、あらためて謝罪した。

杉山美邦社長は「この番組の中で、企画全体を通じて、配慮に欠ける発言が繰り返されて視聴者の皆様に大変不快感を与えてしまいました。生放送中にこうした差別表現の訂正とおわびができなかったことも含めて、深く反省しております。出演者の皆様にご迷惑をおかけし、大変申し訳ないと思っています」と謝罪した。番組に携わるスタッフ全員にコンプライアンス研修をあらためて実施することも明かした。

番組は4月11日開始の新番組で、スタートに先駆けて放送したパイロット版だった。深夜の生放送で「挑戦的企画を繰り広げる超実験的生バラエティー」と銘打たれていたが、今後は収録での放送も検討しているという。編成担当の福田博之常務は「修正がきくと思っている。ああいったことをやる番組ではない。(パイロット版での)最初の企画というか、ネタを誤っていたということは間違いありません。想像力が働いていなかったということだと思います」とし、放送取りやめについては否定。「生放送への準備不足、企画のチェックも足りていなかった」とし「今後は事前のチェックを確実に行いたいと思っております。企画の方向性、場合によってはコンプライアンス推進室と共有してチェックをし、注意点を確認します。このたびは申し訳ありませんでした」と謝罪した。出演者の変更はないが、11日のレギュラー放送1回目は収録で行うとし「撮って出しのような形になりますが、生放送のつもりで直前に収録して放送する」と話した。

21日深夜放送の同番組パイロット版には、その日のMCとして元プロレスラーの前田日明(63)と、スーパーアシスタントとして劇団ひとり(45)と関ジャニ∞村上信五(40)が出演。「テレビに水着のお姉ちゃん出なくなった森」というテーマでトークを行い、前田が「今でこそ、こんな、おっぱいのお姉ちゃん、いますけどね、当時はいなかった」と言うと、ひとりが「昔って、僕が中学くらいの時、巨乳はDカップ。Cでも巨乳だった」と返した。その流れの中で、前田が「その頃、米国の輸入牛肉っていうのは、早く牛肉を大きく柔らかくするために女性ホルモンを打つ。回り回って人間に来る。女の人はボン・キュッ・ボンになる。本当です」などと持論を展開した。

さらに、前田は「世界的な傾向として、ケツが、こんなデカい女の子がはやっているんですけど、ちょっと日本人的には牛かカバみたいでね、いまいち…ウワッと思う」と発言。村上が「失礼な!」と突っ込み、ひとりが「安産型じゃないですけど、お尻がデカい人は人気があるじゃないですか?」とフォローを入れたが、前田は「そんなレベルじゃない。ホッテントット…こんなケツ」と発言。村上が「地域によっては美しいとされるんだから」とフォローを入れても、前田は「この2人も絶対ダメ」と差別的な表現、発言を続けた。

ホッテントットは、アフリカ南西部、ナミビアとボツワナに住むコイ人の俗称で、侮蔑的に使われてきた。日テレは番組ホームページに謝罪文を掲載し「女性の身体的特徴に関する発言、性的な発言などにより、視聴者の皆様に不快な思いをさせてしまったことを深くおわび申し上げます。その際に、出演者が『ホッテントット』というアフリカの一部の地域の方々への差別表現を使いました。関係者の皆様、視聴者の皆様に重ねておわび申し上げます」とつづった。

日テレでは「世界の果てまでイッテQ!」(毎週日曜午後7時58分)の収録中に、お笑いコンビ、ロッチの中岡創一(44)が右足関節外踝骨折で全治2カ月と診断されたとして19日にも謝罪文を発表。福田常務は会見でこの件についても謝罪し「中岡さんをはじめとした関係者のみなさまにおわびしたいと思います。今の対策をさらに厚くして、2度とけがをさせることがないよう努めたいと思います」と語った。