米俳優ジョニー・デップ(58)が、2017年に離婚が成立した元妻で女優のアンバー・ハード(35)を名誉毀損(きそん)で訴えている裁判で20日、前日に続いてバージニア州フェアファックスの裁判所に出廷し、暴力を振るわれたのは自分の方だったと証言した。デップは前日、先週から始まった裁判で初めて証言台に立ち「これまで女性を殴ったことは1度もない」とハードへの家庭内暴力(DV)疑惑を完全否定していた。

 

デップは、ハードが18年にワシントン・ポスト紙に掲載された寄稿文の中で自らをDV被害者であるとつづったことに対し、自身の名誉が傷つけられ、仕事を奪われたとして5000万ドル(約62億5000万円)の損害賠償を求める訴えを起こした。寄稿文の中でハードはデップの名前を出してはいないものの、婚姻中にデップからDVを受けて顔にあざができたなどと訴えていた。

この日の裁判では、ハードとの結婚生活に関する証言を行ったデップは、一緒にいる時は毎日のようにけんかとなり、ハードは怒りを爆発させ、時に自分に暴力を振るうことがあったと告白。15年の結婚からわずか1カ月後に起きた夫婦げんかでデップが指先を切断した事故についても語り、ハードが割れたウオッカの瓶をデップめがけて投げつけ、それが指に当たって負傷したものだと明かした。ハードはこの件に関し、デップが電話をたたき壊した時に指を切り、自身もその時にDVを受けたと主張していた。デップによると、エスカレートして手が付けられなくなったハードから逃れるためバスルームに1人でこもることもあったという。また、ハードがMDMAなど薬物を使用していたことやデップと元パートナーの仏女優ヴァネッサ・パラディとの間の子供たちのハードに対する態度が気に入らず、会うことを拒否されていたとも証言。法廷では録音された2人の会話も再生され、その中でハードがデップをたたいたことを自ら認めていることも明らかになった。

デップは裁判で真実が明らかになることを望んでいると語っているが、ハード側も20年にデップを名誉毀損で反訴しており、1億ドル(約125億円)の損害賠償を求めている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)