河瀬直美監督(52)が映像作品の企画、制作、プロデュースを行う有限会社組画は28日、公式サイトに文書を発表した。その中で、前日27日に「文春オンライン」が、同監督が20年の監督作「朝が来る」の撮影中に撮影スタッフの腹を蹴ったなどと報じた件について、体に装着していたカメラの補助器具を当該スタッフが引っ張って誘導しようとした際、重心を保てず転倒しそうになったと説明。その上で「アシスタントの足元に自らの足で抵抗しました」と、あくまで防御のために足をアシスタントの足にぶつけたとして、報道内容を否定した。

「3年前、広島の映画撮影の現場では、河瀬は10キロ近いカメラを抱えて撮影をしていました。エスカレーターに乗り、移動しながらの手持ちの撮影は、安全面への配慮もあり、緊張感の伴うものでした。俳優の演技が終わるかどうかのタイミングで、撮影部の助手の方がカチンコの方向にカメラを向けるため、イージーリグという河瀬の身体に装着されているカメラの補助器具を引っ張って誘導しようとしたようですが、その際に河瀬は重心を保てず、転倒しそうになりました」

また「文春オンライン」が、撮影監督とスタッフらが作品を降板したと報じた件についても、撮影を継続させるための最善の方法だと双方が納得した上で撮影部が組を離れたと説明した。

「両手が塞がって自由が効かない河瀬にとって、急な体の方向転換は恐怖でしかなく、防御として、アシスタントの足元に自らの足で抵抗しました。その後、現場で起こった出来事を両者ともが真摯に向き合い、話し合った結果、撮影部が組を離れることになりました。撮影を継続させるための最善の方法だと双方が納得した上でのことです」

組画は当時の状況を説明した上で

「今回の記事により『朝が来る』という作品が傷つけられ、関係各位、スタッフに不快な想いをさせてしまったことが残念でなりません。今後も、映画界で活躍する本作のスタッフたちが、現在携わっている目の前の作品に集中できることを望んでいます。また、現在、河瀬を信頼して、お仕事をいただいている方々には、記事を読んで不快な想いをされていることと思います。この場を借りて、お詫び申し上げます」

とつづった。その上で

「常に人に対して真摯に向き合ってお仕事をさせていただいているつもりでも、行き届かないことが多々あるかと存じますが、今後とも精進して参りますので、引き続きよろしくお願い申し上げます」

と締めた。

河瀬監督は、21年の東京五輪公式記録映画の監督を務め、選手を中心とした関係者を描いた「東京2020 SIDE:A」と、大会関係者、市民、ボランティア、医療従事者ら非アスリートたちを描いた「-SIDE:B」と、異なる視点からの2作品を製作。6月3、24日に連続公開する。