大阪松竹座の「七月大歌舞伎」が3日、初日を迎えた。同公演の開幕前には毎年、大阪夏の風物詩として、歌舞伎役者らが道頓堀川を渡る「船乗り込み」が行われるが、コロナ禍で中止が続き、その「船乗り込み」も今年は3年ぶりに開催され、7月公演への機運が盛り上がっていた。

東西から、花形役者がそろった今公演。昼の部「八重桐廓噺 嫗山姥」は、近松門左衛門が、実在した上方歌舞伎の名女形をモデルに「しゃべり」を取り入れた義太夫狂言。主人公・荻野屋八重桐には片岡孝太郎がふんし、「しゃべり」も披露。たばこ屋源七は松本幸四郎が演じた。

また「浮かれ心中」では、中村勘九郎が、父の中村勘三郎さん(故人)も演じた栄次郎を、伊勢屋太右衛門は中村鴈治郎、番頭吾平には中村扇雀、おすずと三浦屋帚木の2役は中村七之助、太助に松本幸四郎が臨み、東西の役者が勢ぞろい。コミカルな展開でにぎやかに進み、コロナ禍以降、関西では初めての「宙乗り」も披露された。

また、頭皮に帯状疱疹(ほうしん)を発症した片岡仁左衛門は、当面の間休演することが決定。千秋楽24日までの復帰を目指す。