成長した姿をみせる。第31回「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」(18年)グランプリの俳優松本大輝(ひろき、23)初主演のテレビ東京系特撮ドラマ「ウルトラマンデッカー」(土曜午前9時)が9日から始まった。今回はウルトラマンダイナ(97年)のエッセンスを取り入れた作品。さらなる飛躍を目指す松本に大役への思いなどを聞いた。

昨秋に受けたオーディションの末につかんだ待望の初主演作。かつて通っていた地元札幌の専門学校からも祝福メッセージが届いたといい「会う人会う人に『おめでとう』と言われるので、すごい作品に出られるんだなと感じています。昔、担任だった先生とかからも連絡がきました。ウルトラマンダイナが好きだったという友達は『ダイナのエッセンスを取り入れているデッカーにお前が出るのは本当にうれしい』と言ってくれました」。

自身も小学校入学前にウルトラマンコスモスのビデオを借りて見ていた視聴者の1人。星人や怪獣との撮影では敵キャラながら感動があったといい「ヒーローショーを見に来たんじゃないかなというぐらい楽しくて。写真もたくさん撮って、細かい顔の作りとかをずっと見ていました」と笑顔で振り返った。

苦悩の末につかみとった大役でもある。芸能界入り後は戦隊ものや朝ドラなど多くのオーディションに出向いたが、なかなか抜てきにはつながらず。「中にはあとあとすごく大ヒットした映画とかもありました。こんなに難しいんだなと知って、かなり落ち込んでいた時期もありましたね」。 今回のオーディションでは、受け身をとって怪獣に銃を向けるシーンなどを実演。「おでこを見せてとも言われて。帽子やヘルメットもかぶるので、それに合う人を見ていたらしいです。素の自分を見せたいと思っていましたし、一番楽しめたオーディションでもありました。緊張していたんですけど、それ以上に肩の力を抜いて、楽に自分をアピールできたかなと思いました」。

やっとの思いで届いた吉報。年始に帰郷した際はまだ出演の情報解禁前で、家族らだけに報告してお祝いを受けた。「お酒を飲んでわいわいして、おめでとうと。みんな拍手して立ち上がっていて、めちゃくちゃ喜んでくれました」。きょうだいはもちろん、父母もウルトラマンを見て育った世代。「お母さんとかお父さんは『私たちはウルトラの父、母だ』って言っていて(笑い)。『お姉ちゃんはいるのかな?』とかっていう話にもなっていましたね」。

歴史あるウルトラマンファミリーの仲間入りでもある。歴代メンバーは今でもウルトラマンダイナで主演を務めた、つるの剛士(47)らが中心となって定期的に顔を合わせている。松本も見ていたウルトラマンコスモスで主演を務めた杉浦太陽(41)は6月にイベントに出演した際に「みんなデッカーのことも応援していますし、これだけの時を経て『家族』だと言っている作品はなかなかない。いつかデッカーのみんなも来てほしい」と語った。

松本も「ファミリーと言ってくださるのが、本当にうれしいですね」と喜び「みなさんに実際に会ったら自分どうなっちゃうんだろうなというドキドキもあります。その時の撮影がどうだったのかとかも聞いてみたいですね」と憧れも口にした。

年始以来、故郷の北海道には帰れていない。無事に放送も始まり、次はウルトラマンとして凱旋(がいせん)することになった。「今作のポスターを頂いたので、(卒業した)専門学校に行って贈らせてもらおうかなと思っています。ここまでつらい時や悩んでいた時もあったんですけど、それがあったから主演ができていると思っていますし、準備期間だったんじゃないかなと捉えています。これからもどんどんいろんな役に挑戦して、幅広い演技ができる俳優になりたいです」。最高の土産話を手に、まずはテレビからお茶の間へとその勇姿を届ける。【松尾幸之介】