コンポーザーのAyase(28)、ボーカルのikura(21)からなる「小説を音楽にするユニット」YOASOBIをインタビューし、これまでで一番、乗り越えるのが大変だった事を聞いた。

するとikuraは「武道館でのライブ」。Ayaseは「YOASOBIを始めたこと」と答えた。

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ikura 一番とか決められないですけど、一番直近でいうと(昨年開催した初の有観客ライブの)武道館はすごく大きな壁でしたね。やっぱり、初めてずっと応援してくださった方々とお会いするっていうのもありましたし、YOASOBIの演出はこれまで、すごい沢山のかっこいいことをやらせていただいていました。その上で、自分ができるのかできないのか、ちゃんとうまくこなせるのか、みたいなところでの精神的な戦いがあったので、一番直近でいうとそれが大きな壁でしたね。でも、それをチームみんなで乗り越えることができたなって思いますね。

Ayase 物理的に単純にお金がなくて生活できないとか、バンドが売れなくてつらいとか、そういうのはたくさんあるんですけど…。1個乗り越えて良かったなみたいな話でいうと、やっぱりYOASOBIを始めたことが、僕の中で試練でしたね。バンドが失敗していなかったら、多分YOASOBIやっていないんですよね。バンドが売れていればバンドをやっていましたし。9年くらいやっていたバンドを失敗するという経験、生活をかけていたものがポシャって、全部0になるっていう経験があったからこそ、多分、無駄なプライドを捨てられたと思います。かなり『俺、天才。最強タイプ』だったので。そういういらなかったプライドは、バンドを失敗したことで捨てられましたね。

あれ(バンドでの経験)がなかったら、YOASOBIの話が来たとしても、多分、受けていないと思うんですよね。だからもちろん、YOASOBIを始めるってなった時には、すごくいろいろと決断としてはかなり悩みましたけど。まあでも、あそこで割り切って、今の自分にできることなのかもしれない、と思って始められたっていうのは、1個乗り越えられた部分だし、間違いなく今にもつながっている良かった経験ですね。

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Ayaseが答えた「YOASOBIを始めたこと」。この第一歩がなかったら、今、日常で聞いている楽曲たちには出会えなかった。そう考えると少しゾッとする。【佐藤勝亮】