米俳優ウィル・スミス(53)が29日、3月に開催された米アカデミー賞授賞式でコメディアンのクリス・ロック(57)を平手打ちした騒動についてSNSに謝罪動画を投稿した。

全世界に生中継されている最中に起きた前代未聞の騒動から4カ月が経過したが、スミスが自らの肉声で謝罪したのは初めて。

映画「ドリームプラン」で主演男優賞にノミネートされていたスミスは、プレゼンテーターとして登壇したロックが自身の妻で女優のジェイダ・ピンケット・スミスの容姿をジョークのネタにしたことに激高し、平手打ちした騒動は世界中に大きな衝撃を与え、アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーから10年の出禁処分を受けた。

自らアカデミーを退会したスミスは、声明を発表して謝罪したものの、これまでカメラの前でこの件について語ることはなかった。

公開された6分弱の動画の冒頭で「この数カ月間、たくさん考え、個人的なことに取り組んできた。たくさんの適切な質問が寄せられたが、時間をかけてそれに答えたいと思った」とテロップが映し出された後、自らの言葉で寄せられたさまざまな質問に答える形式で騒動や現在の心境について語っている。

主演男優賞を受賞した後のスピーチでロックに謝罪しなかった理由について問われたスミスは「その時点では頭に霧がかかっていた。クリスに連絡をしたが、”まだ話す準備ができていない”との返信がきた。話す気になったら連絡をくれるでしょう。だから、私はクリスに謝罪を伝えます。私の行動は容認できるものではありません。あなたが話す準備ができたら、私はいつでもここにいます」と語り、いまだ直接の謝罪はできていないことを明かした。

また、ロック本人だけでなく、騒動後のインタビューで「家族全員をたたいたのと同じ」だとスミスを非難したロックの母や親しい友人だった弟で俳優のトニー・ロックにも謝罪したほか、ノミネートされていた俳優仲間や自身に投票してくれた人々への謝罪も口にした。

一方、妻から何か言われたことが自身の行動に影響を与えたのかという質問には「ノー」と答え、妻は無関係だと主張。自身の言動が原因で批判を受けた妻や子供たち家族にも謝りたいと述べた。さらに「人を失望させたことがトラウマになっている」とも語り、「私がやろうとしているのは深く反省することで、自分自身を恥じることなく反省しようとしている」と話した。(ロサンゼルス=千歳香奈子)