お笑い芸人チャンス大城(47)が初の著書「僕の心臓は右にある」(朝日新聞出版社)を発売した。帯を書いた千原兄弟のジュニア(48)は「即映画化」、せいじ(52)は「こんなオモロいやつが今までどこに潜んでいたのか。地下芸人の壮絶な半生、ここにあり」と激賞。このほど、チャンスが取材に応じ、本の反響、笑いの原点、現在地、これからを語った。(全4回)

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TBS系「水曜日のダウンタウン」(水曜午後10時)やフジテレビ系「さんまのお笑い向上委員会」(土曜午後11時10分)などに出演し、徐々に知名度を上げているチャンス。「地下芸人」を「-向上委員会」で提唱し始め、近年の地下芸人ブームの火付け役でもある。

20日に出版された初著書は、幼少期のいじめ、お笑いに出会うまで、東京進出、うつとブレークまでの壮絶な半生が描かれており、笑いと涙がとまらないと話題だ。お笑いコンビ、ナイツの塙宣之(44)や清水ミチコ(62)ニューヨーク、白濱亜嵐(28)など著名人がSNSで絶賛している。チャンスは「いやーうれしいですね。全員のフォロワー調べたら100万人超えていました」と喜んだ。

ジュニアが帯に書いたように、映画化の夢も膨らむ。「鈴木おさむさんのラジオにでたんですけど、『(もしやるなら)映画実写版どうするの』って言われたんですよ。(作中の)千原兄弟は、長瀬(智也)さんと松岡(昌宏)さんで、とかいって。鈴木おさむさんに定時制高校の先生で出てくださいっていったら、『いいよ』って。『でもそれだったら脚本書かせてよ』って言われて。うそかほんまかわかんないですけど、うれしかったですね。主人公はウエンツ瑛士さんとか、仲野太賀さんとか、濱田岳さんがいいかなって」と楽しそうにイメージした。

もともとは、芸人らしくギャグ本にしようと考えていたという。しかし、テレビ番組で、「山に埋められた」というテッパンのスベらない話をした際に、視聴者から「自殺を踏みとどまった」と連絡がきたことを思い出した。「なんかそういう自分が情けない部分もさらけ出してもいいかなって。ほんま恥ずかしいこと、なさけないこと。フルスロットルですね。ツイッター見たら、アル中の人とかがすごい勇気づけられたっていうのがあって、それはうれしかったですね」。

本の構想は8年前にさかのぼる。ジャケット買いをした「東京タクシードライバー」の著者・山田清機氏と知り合い、飲んでスベらない話をしているうちに「本にするべきだ!」とアドバイスを受けた。そこから約4年かけてノートにエピソードを殴り書きし、完成した。あらゆる出版社に持ち込んだが、全て断られた。一度諦めて、3年ほど寝かし、自身の知名度も徐々に上がったタイミングで、山田氏の紹介で、朝日新聞出版社の担当者に出会った。「めちゃめちゃおもろいやんけ、ってなって。で、どうせなら最近の『(人志松本の)すべらない話』のこととか、東京のことも書いた方がいい、ってなって。印刷のギリギリに出したやつもある。樹海に行くか、プロレスに行くかっていう話。記憶を抹消していたんですけど、もしかしたら、誰か救われるんちゃうかなって思って。結果、一番言いたかった部分かもわからないです。今考えると、あのとき全部落ちて良かったですね」。【佐藤成】(続く)