俳優寺島進(58)をドラマの現場で、囲んでインタビューした。コロナ禍だけに3メートル離れ、一部の媒体はオンラインで話を聞いた。

寺島主演の連続ドラマシリーズ「駐在刑事Season3」(水、木曜深夜3時)の放送が、CSホームドラマチャンネルで28日にスタートする。今年1月期にテレビ東京で放送された人気シリーズのCS初登場だ。

寺島といえばビートたけし(75)。86年スタートのTBSの人気バラエティー「風雲たけし城」に攻撃軍の1人として参加。たけしが北野武の名前で監督デビューした89年の映画「その男、凶暴につき」で、ヤクザの手下を演じて強烈な印象を残した。そして、その後は北野映画の常連として、個性的な脇役としての地位を固めてきた。

若い頃はヤクザ、チンピラの役が多かったが、売れてくるにつれて、映画「アンフェア」シリーズのように刑事や警官役を演じることも多くなってきた。その代表作が「駐在刑事」シリーズだ。取り調べ中に重要参考人を自殺させてしまったことから、警視庁の敏腕刑事から奥多摩の駐在所に左遷された江波敦史役。

明るさと寂しさが入り交じった寺島の演技もあって、「駐在刑事」シリーズは人気ドラマになった。14年にテレビ東京のスペシャルドラマとして始まり、18年に「駐在刑事 Season1」として連ドラになった。17年に同じく北野映画の常連だった故大杉漣さんらとテレビ東京「バイプレーヤーズ」で連ドラ初主演を果たしているが、あちらは6人が主役。寺島にとって、「駐在刑事」が初の連続ドラマ単独主演となった。

「スペシャルから、ずっと同じスタッフ、共演者とやってきて感謝の気持ちでいっぱいだった。この瞬間が来たんだとうれしかった」と連ドラとなった時のことを振り返った。

物語が奥多摩の自然を背景にしているだけに、撮影は奥多摩で行われることが多い。以前は、バイクに乗ってロケ地にやってくることも多かった。

「現場が早く終わった時は、西多摩霊園にある恩人のお墓によく行った」と話してくれた。

寺島にとって映画デビュー作となった映画「ア・ホーマンス」の主演、監督を務めた故松田優作さんのお墓だ。

松田さんは89年に40歳の若さで亡くなった。同年公開の映画「ブラック・レイン」でハリウッド進出を果たした松田さんにとっては、無念の早すぎる死だった。

寺島は58歳になった。

「まだまだ、甘い。まだ勉強しなけりゃいけないことがある。コロナ禍で時間が出来たんで、いろいろな映像作品を見ている。韓国ドラマやVシネマ。見てなかった作品をたくさん見た。もっと貪欲に、自分の時間を大切にして精進しなけりゃいけない」

若き日のギラついたチンピラ役から、ペーソスあふれる警官を演じてくれるようになった寺島。髪の毛も白くなった。これから先の還暦、そしてじいさんになって、どんな芝居を見せてくれるのかが楽しみだ。

18、19日には、それぞれ午後6時30分から「駐在刑事Season1」「駐在刑事Season2」がスカパー!で全8話ずつ一気に無料放送される。また、最新作の「駐在刑事スペシャル」が今秋、テレビ東京系で放送される。【小谷野俊哉】