“モッツァレラボディー”から、“ダイヤモンドレディー”へ。タレント井口綾子(25)が、第2章を踏み出した。8月から大手芸能事務所「アミューズ」に所属。10月期の新ドラマでドラマデビューを果たすなど、活躍の場を広げている。新たな1歩を踏み出した井口の、今に迫った。

「おはようございます! 井口綾子です。本日はよろしくお願いいたします」。取材開始約30分前に現場に到着したが、井口はすでに準備を終え、我々取材班を待ってくれていた。インタビュー時に、そのようなことは初だった。そんな井口はこの夏「アミューズ」に移籍した。

「正直、このコロナ禍で環境を変えるというのは不安はあったんですけど…事務所の方とお話しさせていただく中で、いろんな方向に行く可能性を探ってくれたり、しゃべりやすい環境を作ってくれました。『これからどんどん飛躍できそうだな』みたいなワクワク感がありました」

芸能活動を始めた18年から、バラエティーを主戦場としてきた。その一方、グラビアでも大活躍し、“モッツァレラボディー”のキャッチコピーで多くの人気を集めた。今後は。

「大好きなバラエティーで活躍できたらいいなっていうのは初志貫徹で思いつつ、ドラマだったり、自分を表現するようなお仕事もしていけたらいいなと思っています。グラビアは、やらないと決めたわけではありません。これまでグラビアに甘えちゃっていた部分も正直あったので、いったんグラビアを離れても応援してくださる方だったり、グラビア以外での肩書をつけられたらいいなと思います」

挑戦したいと話していたドラマへの出演が、早速決まった。だが、キスシーンがあると笑って明かす。

「早速決まったっていううれしさがすごくありました。でも、『最初のドラマ出演うれしい!』はつかの間、『最初でキス? 大丈夫かな?』みたいな(笑い)。人前でキスしたことはもちろんないですし、フリスク買いだめしとこうかな(笑い)」

不安に勝るうれしさが、表情から伝わってきた。井口が芸能界に憧れを抱いたのは小学3年生の時だった。雑誌「ニコラ」を見て、芸能界に入りたいと親に直談判。だが「ダイエットしたらいいよ」「そんなに甘い世界じゃない」「ちゃんと勉強して大学に入ったら」。親の厳しい意見に時折心が折れそうになりながらも、18年の時についに芸能事務所に所属した。ずっと憧れていた世界だったが、入ってみると厳しい現実にも直面した。

「小学3年生から何年も憧れ続けてきて、『こんなところなんだろうな』みたいな、正直キラキラしたイメージを持って芸能界に入りました。でも、意外とキラキラはしていないというか…自分について悩む時間がすごい多かったです。『自分って何ができるんだろう』とか、自分の嫌なところばかりに目を向けさせられることもありました。でもそれが分かっただけでも、自分が成長できたとすごく思っています。もちろん仕事をしてる時はめちゃくちゃ楽しくて、『こういうことがやりたかったんだよな』と思いながら、毎現場毎現場をかみしめています。テレビの箱の中に自分が入れる時があるのかなってずっと思ってて、それを今、これで収録してるんだとか思ってワクワクしていますね」

他人と比べて、悩むこともあった。タレント王林(24)など、“爆発力”を持つ女性タレントがうらやましく思うときもあった。でも、他人にはない、自分だけの良さはある。

「この仕事に対して憧れや尊敬がすごく強い分、現場のスタッフさん方も尊敬しています。テレビでは映らない部分ですけど、それがスタッフさんに伝わっているのかな? 例えば王林さんみたいに、1つの番組がきっかけで複数の他の番組に呼ばれる方もいます。私はそうじゃなくて、『個性がない』ってすごく悩んでいたんですけど、1つの番組に長く呼んでくださることがあって。それは、私の思いが伝わって、スタッフさんとのコミュニケーションがうまくとれているのかなと思っています」

共演したい人を聞くと、「くりぃむしちゅーさん」と答えた。大ファンが故に、なかなか自分から前にいけないといい「ちゃんと、くりぃむしちゅーさんの世界に入れるようなタレントになりたい」と、掛け合いを熱望した。出演したい番組は「コント番組」。憧れは小池栄子(41)だ。

「小池さんは元々グラビアもやっていて、今はバラエティーやドラマでも大活躍されています。私もグラビアやバラエティーはもちろん大切にしつつ、今までイメージのなかったような仕事にどんどん物おじせず、挑戦したいです」

一呼吸入れて、「あと」と続けた。

「私が芸能界を諦めなかったように、小さい時に持った夢を諦めないでほしいなって思います。大人になって、現実的に考えたら『そっちじゃないよな』とか、夢を諦めてしまう人が私の友人でもいます。だけど、そういう現実的なことも考えつつ、夢を追うことも諦めないみたいな精神を、いつか届けられたらいいなとも思っています」

10年以上、夢を諦めなかった井口の言葉には、重みがある。インタビュー終了の空気が流れたが、筆者の急な思いつきで、“モッツァレラボディー”の次に獲得したいキャッチコピーを最後に聞いた。

「えー!(笑い)。ダイヤモンドレディー!」

すぐに言葉が返ってきたことに驚いた。

「私が傷ついた時に、父から『ダイヤモンドは傷つかない』ってずっと言われてきました。『他の石では傷がつかないし、ダイヤモンドはダイヤモンドでしか削れない。だからここに輝き続ける』とずっと言われてきて。だから私は、強く固い意思の中に、光るような輝きのある女性になれるように頑張ります!」

勢いで即答したと思った自分が恥ずかしくなった。同時に、その瞬発力と説得力は井口の強みだとも感じた。【佐藤勝亮】

◆井口綾子(いのくち・あやこ)1997年(平9)3月24日、神奈川県生まれ。青学大在学時の17年、「ミス青山コンテスト」に出場し、準ミス青山に輝く。同年、ファッション誌「Ray」の専属読者モデルに就任。現在はFMヨコハマ「F.L.A.G.」などに出演。特技はオセロ(今まで友人との対戦で負けたことがない)。趣味はお笑い、映画観賞。身長160センチ。血液型B。