橋本愛(26)が21日、都内で行われた第35回東京国際映画祭(10月24日~11月2日、TOHOシネマズ日比谷など)ラインアップ発表記者会見で、2年連続でアンバサダーを務めると発表された。

2年連続でアンバサダーを務めるのは08、09年に映画祭大使を務めた杏と木村佳乃以来。橋本は「昨年に引き続き、務めさせていただくことになりました。本当に、ありがたいですし、とても光栄なことですし、役目を果たさなければ背筋が伸びる思い」とあいさつした。

その上で「もう1つは、アンバサダーとしてと言うか、映画祭に携わる人間として、どういったことを発信していけばいいんだろうと模索していく中で、去年は自分が思っているものよりも、楽しい、ワクワクする興奮といったものを発信していたと思う。今年は2年連続ということで、もうちょっと自分に何か出来ることはないかと考えた」と切り出し、内に秘めた思いを赤裸々に吐露した。

まず「日本の映画界に、いろいろ立ちはだかる壁について、自分の気持ちをお話しできたらと思っています。1番はハラスメントと呼ばれることだったり、労働環境の問題だったりとか、映画界に限らず、いろいろな問題があるなぁというふうに自分が現場を経験していて、思うところがたくさんあって」と口にした。

その上で「けれども、1番、感じるのは、世代間の溝というか…。上の世代の方々が、今まで必死に積み重ねてきたものを、大事に守り抜いていこうだったり、自分の功績に誇りを持って関わっていく姿勢は、とても素晴らしいことだと思う。一方で、下の世代だったり若い人たちの声も、ちゃんと聞こうという姿勢が、もう少し、お互いですけど、声を聞き合う姿勢が、これから物作りにおいて大事なことなんじゃないかと思いましたし」と、映画界に世代間の溝があると指摘した。

そして「下の世代も、自分の声を押し殺されることを何度も経験してきた中で、諦めてしまいそうなところを、めげずに自分の意見をちゃんと持って伝えるだけでなく、表現方法を鍛えて、自分の中にあるものを伝わるように伝えるスキルを、こちらも磨いていくことが大事だと思って」と、若い世代も世代間の溝を埋めていく努力をしていくべきだと指摘。「お互いが歩みよって、今より、もっとすてきな映画、物作りの環境になったらいいな、といううちの1人の願い」と訴えた。

昨年の東京国際映画祭でアンバサダーを務め、感じたことを聞かれると「海外の監督さん、女優さんとお話しする機会があった。自分の語学、英語力の、あまりにつたなさに絶望しながらも、映画、芸術を通して繋がるコミュニケーション能力。歩みは遅いながらも、祖も力を身に着けていかなければいけないし、これから世界に、ちゃんと開いていかなければいけないんだなと考えさせてくれたきっかけになった。そして映画、映画祭そのものの役割についても、考えるきっかけになった」と語った。

その上で「個人的な気持ちなんですけど、日本全体に同性婚が認められなかったり、LGBTQへの理解が浅かったり、世界の環境問題に対する意識が薄かったりというところに目を向けて…。歴史だったり伝統を守っていく姿勢自体は、すごく美しいし素晴らしいと思う一方で、守り抜く過程でこぼれ落ちてしまう人たちも、もちろんたくさんいて。そういった人たちの悲しみ、苦しみにちゃんと寄り添って、それでも生きていて欲しいという気持ちを込め、作っていくのが映画であり、芸術だと思う」と。再び日本社会に向けた提言を口にした。

そして「世界をより良くする、お手伝い、提案を映画を通して、していったらいいなと思っていて。せっかく世界に開かれる、めったにない、またとない機会である東京国際映画祭で、改めて世界を見渡して、日本のすてきなところと、少し改善した方がいいのではないかと思われるところを、改めて見つめ直すきっかけになればいいなと思います」と抱負を語った。