昨年9月に84歳で亡くなった劇画家さいとう・たかをさんの「お別れの会」が29日、東京・帝国ホテルで行われた。

祭壇はさいとうさんが好きだった野の花で飾られ、約600冊のコミックと約150冊の雑誌などが展示された。

親交の深かった漫画家ちばてつやさん(83)は友人代表としてあいさつした。

「亡くなって1年たっても、あんなにお元気だったさいとうさんを見送るとは思ってもみなかった。あなたは私より、少し年上でしたが親しみをこめて『たかをちゃん』と呼ばせてもらいました。普段はこわもてで気むずかしそうな印象。でも、見かけによらず、誰よりも周りをおもんぱかる、思慮深いジェントルマンでした。よく集まってゴルフをやって遊びました。(腕前は)相当なもので、はるか遠くを歩いている前の組に打ち込んでいた。愛用していたパターを自在に駆使して、スナイパーのように冷静に沈めていた。キャディーさんに優しく接するからもてていた。仕事も遊びも繊細で大胆で、ゴルゴとたかをちゃんと一緒に見える。昔から合理的で進歩的だった。半世紀も前から大人がコミックを楽しむ時代が来ると。日本の漫画劇画文化をここまで育んだのは、あなたの功績大です。喪失感は計り知れない。たかをちゃん。わしも間もなくそっちに行くで。待っといてね」。

後輩の里中満智子さん(74)もあいさつした。

「輝子夫人とお付き合いが始まったころから、オノロケを聞いていた。一緒になって3年くらいたって、『自分は1人が落ち着く。でも、この人なら男でも一緒にいたい。人生の奇跡だ』と言っていた。そちらでも、どうか私たちを見守ってください。これからも頼りにしています」。