3日にスタートしたNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」。ものづくりの町・東大阪と、自然豊かな長崎・五島列島を舞台に、福原遥演じるヒロイン岩倉舞が、空にあこがれ、夢へ向かって進む様を描く。語りを務める長崎出身の歌手さだまさし(70)が5日、コメントを発表した。

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-ナレーションに決まったときの気持ちは?

さだ まさかナレーションをやるとは思いませんでした。長年「朝ドラの主題歌をやりたい」と言い続けているので、しゃれで「また主題歌じゃないの?」とは言いましたけれど(笑い)。これはもう、「お約束」のコントになっています。昨年の「カムカムエヴリバディ」の平川唯一役に続いて2年連続の出演となります。「こんなに続けて出ていいのかな」とも思ったのですが、僕は長崎県出身ですので、五島列島が舞台になるとうかがい、ご縁を感じてお受けしました。

さだは、中学2年時に「おはなはん」に“ハマッた”といい、以来、朝ドラのファン。「朝ドラはいつの世も、その時代が抱えているものを拾い上げてくれるので、ご時世がはっきりと見えますよね」とも。

それゆえに「そのナレーターですから、責任は重いです。ツッコまれないようにしなきゃ」と意気込む。

-ご自身の役柄についての印象は?

さだ いただいた台本を読んでみたら、あんまりベラベラしゃべらないタイプだったので、ありがたかったです。ナレーションというのは、ただのト書きじゃないんですよね。必要最低限のことをきちんと伝えつつ、登場人物たちの気持ちを支えるという役割。今回、僕の「役どころ」というか、語りの「発し手」は、五島列島の名物である「ばらもん凧(だこ)」。五島で育った人にとっては、子どものころからいつも身近にあるものです。ナレーションにもいろんな方法論があって、キャラクターを強く打ち出して、出演者のひとりになっていくような作品もあるけれど、今回はそういうタイプではないので、楽ですよ。舞のおじいちゃんみたいな感じで見ていればいいので。

-現場の雰囲気は?

さだ 台本だけ読んで想像でつけていくのと、実際映像に声をつけるのとでは全然違いますね。「ここ、ナレーションいらないなあ」と思ってしまうくらい、素晴らしい画(え)がたくさん登場します。収録の最初のほうは、演出の方から「もうちょっと明るいとどうなりますか?」とか、「もうちょっと押したらどうなりますか?」「もう少し『さだまさし』を出したらどうなりますか?」とか提案をいただいて、お互いに探りながらやっていました。いいところで綱引きができていれば最高ですよね。

-視聴者へのメッセージを

さだ 五島で出会った人々と「ばらもん凧」をきっかけに、舞は空を飛ぶことにあこがれ、人力飛行機の制作を経て、航空学校を目指します。もしかしたら、『舞いあがれ!』で舞の奮闘を見た若い女性のなかに、パイロットを目指す方が増えるかもしれませんね。五島の景色は美しいし、お話にはちょっとホロッとさせられるし。登場人物はみんな、情にあつい、温かい人たちなんだけれど、それぞれに生活の苦労もあるし、情の行き違いもある。よかれと思ってする災いもある。意外な人が助けてくれたりもする。作り手が「見据えているもの」がちゃんとしている作品です。それから、長崎らしさがとてもよく出たドラマだと思います。「地元枠」として登場する医師役にもご注目ください。「あ~、長崎や~」って。ホーム感がばっちり出ます(笑い)。