King&Prince平野紫耀(25)が初のダークヒーローに挑戦するTBS系連続ドラマ「クロサギ」が21日スタートした。

詐欺師をだます詐欺師という難役で、これまでのイメージを覆す変身ぶりを見せている。膨大で変化の多いセリフといい、役作りにはかなりの汗をかいているようだ。

先日、平野に話を聞く機会があった。

ただでさえ多忙な中で、「グループ仕事の間は、個人仕事の台本はぜったい見ない」ことをひそかに決めごとにしている平野は、いったいどうやって膨大なセリフを頭にいれているのだろうか。「こうやってるんです」と見せてくれたのは、スマホの「アルバム」画面だった。

縦7×横4の28コマが台本の見開きを写した写真で埋まっている。スクロールしても延々とこれが続く。

「長ゼリフで難しそうなところを重点的に撮ってあるんです。移動の時とかちょっとした時間にこれを開いて、頭に入れています」

マーカーを使ったり、余白に背景を書き込んだり…人それぞれのセリフの入れ方や役作りについては聞いたことはあるが、スマホを使うのは初耳だ。

「いや、(共演の)黒島(結菜=25)さんも、やっているって言ってましたよ」

黒島もNHKテレビ小説「ちむどんどん」のヒロインを務めたばかり。セリフ覚えに追われただろうことは想像に難くない。スマホ使用は今や若手俳優のスタンダードということか。

ただの暗記ではなく、「生きたセリフ」となるとそう簡単には入らない。

「もうすぐあのシーンだな、と思ったら、スマホを開いて頭に入れ始める。僕は何日もかけないと(セリフが体に)染みない方なんですよ。何しろ、仮想通貨だとか何とか、説明ゼリフが多い。それをさらっと言わなければいけないですから。で、(収録)前日にもう1度台本をしっかりと読み込んで、現場に臨むわけです」

本番を前に監督から想像していたのと違う演技を求められることも少なくないという。

「僕のイメージしてきたものをリセットしなくちゃいけない。まだまだ臨機応変に、とはいきませんからたいへんです。だからこそ、セリフだけはしっかり頭に入れておかないといけない」

オンエアでは、隙なく見えるクロサギの変身ぶりは、こうした積み重ねから生まれている。「天然」のイメージからはうかがいしれない平野のひたむきさも改めて実感した。【相原斎】