俳優森田健作(72)が7日、台北市内で、台湾の教育部(教育省)から「台日教育に多大に貢献した」として感謝状を贈呈された。

今年は日本と台湾の高校が教育交流を開始して20周年を迎えたことから、同市内で、記念イベント「台日教育交流20周年」(4~8日)が開催。シェラトングランド台北ホテルで開かれた国際教育会議で表彰式が行われ、森田が、教育部の潘文忠部長から授与された。

また、授賞式後には「新世紀台日学校友好宣言」が締結された。

前千葉県知事の森田は「立場は違っても、これからも千葉県、ひいては日本と台湾の相互交流を通して、特に若い世代での友情を育んでいけるように努力したい」と語った。感謝状は当初、蔡英文総統から授与される予定だったが、諸事情で出席が見送られた。

台湾は、グローバル時代の到来を受けて02年から海外への教育旅行を奨励してきた。そんな中、森田は「千葉県は成田空港という国際空港もありポテンシャル(潜在性)が高い。人と物の流れを作り出すことが大きな発展につながる」と、中高校生の教育旅行に力を入れてきた。

しかし、知事就任後の11年3月11日の東日本大震災で状況が一転した。

千葉県の関係者は「東日本大震災1周年追悼式典の時に当時の政権が台湾代表を指名献花から外したことに森田前知事は『日本政府が無礼なことをした』『真っ先に支援をしてくれた台湾に対して日本人として恥ずかしい』と批判。『千葉県は絶対にそんなことをしない』と台湾との交流を積極的に進めてきた」と話す。

これが千葉県からの台湾修学旅行を増やすキッカケとなったと言われるが、被災直後、台湾は千葉県の観光地に300人の観光団を送るなど「被災地支援に積極的だった」。

それだけに、森田は、県知事時代の14年に台湾を訪問した際、台湾国際教育旅行連盟で総会長と会い「次世代の日台交流のため若者同士が自由に交流出来る舞台として、さらに教育旅行を促進し絆を深めることが重要」と訴えた。

その後、日本と台湾の相互訪問は飛躍的に伸びた。千葉県内においては森田が知事就任当時0件だった中高生の教育旅行が3期12年で63校、延べ1万7898人となった。

ちなみに台湾の教育旅行は158校で延べ5712人となっている。コロナ禍前の影響もあったが「大震災後の文科省の調査でも、中高生の台湾への修学旅行者数は中国を上回っている」という。

教育旅行を促進することで森田は「参加した台湾大学生にはフェイスブックやツイッターなどSNSを活用して千葉県観光の魅力を発信してもらってきた。次は私が日台共同で映画を製作したい」とも語った。

台湾の教育部では、「台日教育交流20周年」の記念イベントを通じて「台湾を訪問する日本の高校生の誘致をさらに促進したい」と意欲を見せている。

森田は、日台の教育旅行促進に合わせて台湾の他、マレーシア、タイ、シンガポールなど、アジア各地のトップセールスを積極的に行ってきた。東日本大震災による東電福島第1原発事故によって、世界各国が放射能汚染を警戒して、千葉県などの農産物に輸入規制をかけていたからだ。「農水産物の輸出拡大を図るのは千葉県にとっても大きな悲願。輸入規制の解除に向けて地道に交渉して行くことが私に与えられた使命」と言い続けてきた。

すでに原発事故から10年がたったが、そのトップセールスが功を奏し、タイやマレーシアは規制を完全に解除してきた。だが、肝心な台湾だけは大きな懸案となってきた。

千葉県関係者によると、森田は知事時代に、2度も訪台したほか、知事退任後も独自のネットワークで交渉を続けてきたという。

その甲斐もあり、今年2月に台湾も規制が緩和。千葉県産農林水産物・食品(日本酒除く)については放射性物質検査報告書や産地証明書などの添付を条件に、輸出が解禁となった。